第十話
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力が低いだけで外に出れない格好ではない。
「いえ!あの…出来れば…お部屋で…」
最後の方は、ほとんど『もごもご』としか聞こえなかったが、肝心なところは聞こえた。
「あっ、あの…貴重な情報を、誰かに聞かれたら大変ですし!」
シリカは慌てて理由を付け足した。
「はいはい、それじゃ、入ってきなよ。」
失礼します…と、部屋の中に入って来るシリカをベッドの上に座らせ、俺は机を持ってきて椅子に座る。
「さて、本来ならここで、シリカが知らないレアアイテムとかを使って「すごい!」とか言われるシーンだろうが、残念ながら、俺はそんなん持ってないからな。ただの地図だ。」
アイテムストレージから、47層の地図を取りだす。
「代わりと言っちゃあ何だけど、林檎ジュースって好きかい?」
「え?…好きですけど…」
それがどうしたんですか?って顔をされた。
再び、アイテムストレージを操作し、今度は林檎ジュースとコップを二杯。
「えっ!まさか、本物の林檎ジュースですか!?」
シリカの目が輝く。
ここ、アインクラッドでは、現実と同じ食べ物というのは無い。
まあ、コーヒーぐらいならあるが、だいたいは…例えばラーメン…は、『ラーメンっぽい何か』だ。
だから本来なら、林檎ジュースといっても、林檎ジュースっぽい何かだが、俺は独自の政策で『更に林檎ジュースに近づいた何か』に出来た。
…原材料は秘密。
てか、知らない方が良いと思うよ。
「ダンジョンに籠もってる時には、美味しい飲み物が飲みたくてね。いつも常備してるんだよ。」
「ふふ。確かに、それはありますね。それじゃ、いただきます。」
最初は、シリカも遠慮がちに口に含んだが、一口飲んだ後はぐいぐいと飲み干した。
「…美味しい…本物の林檎ジュースみたい…」
「ちょっとだけ料理スキル上げててね。ま、飲み物ぐらいしか作れないけど。」
スキル熟練度が低い為らしい。
「そんじゃ、…あ、おかわりいる?」
凄く物欲しそうに俺を見ないでくれ、シリカ。
「…それじゃ、いただきます。」
まあ、ここ、アインクラッドでの娯楽は食べ物ぐらいしか無いから、仕方ないと言えば仕方ないのだが…
「そんじゃ、話を戻すけど、47層のサブダンジョン、《思い出の丘》は、ここが主街区なんだけど、この道を通る。…でも、ちょっと女の子にとって厄介なモンスターが…」
俺はそこで言葉を切る。
システム外スキルが俺に、ドアの前にいる人物のことを告げる。
「…おい、あんた。」
ドアに向かって喋ると、ドタドタと階段を下りる音が響いた。
「…聞かれてたな。」
「え…で、でも、ドア越しじゃ声は聞こえないんじ
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