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英雄王の再来
第2騎 転生
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ルとの“約束”を果たしていない。

“ナヴィー、お前に本当の「平和」を見してやる!”
“はい、ルミウス!必ず・・必ず一緒に見ましょう!約束ですよ!”
“あぁ、一緒に見よう。二人で・・・必ず!”

・・・あの約束を、果たしていない。私は、自分の手のひらを見た。この手は、何を掴んできたのだろうか。きっと、色々なものを掴んできた・・・でも、一番大切だった筈の、友の手を掴んでいたか?掴もうとしていたか?・・・いつの間にか、私はその手を掴む事さえ、忘れていたのではないか。手を、強く握った。強く、強く、手が痺れるほどに。

「理解、出来たか?・・・お前は、帰れ。成すべき事を成さなければいけない、その場所へ。」
そう言って、彼女は左腕を挙げて、手を私に向けた。その手のひらが、眩く光を放つ。私は、その光に包まれた。目の前が真っ白になり、眼も開けられないほど眩しかった。その光に包まれる中で、少しずつ意識が遠くなる。私は、もう一度、彼女の姿を見ようと思って、何とか眼を開けた。眩く輝く光の中で、彼女は泣いていた。その絹のように滑らかで白い頬に、一筋、また一筋と涙が伝った。口元が、何かを呟く。声は聞こえない、だけど、何を言っているのか、分かった。

「ごめん・・・ルミウス、ごめん。」

そう、言っていた。私は、遠くなる意識の中で考えた。彼女は、何を謝っていたのだろうか。光輝くような金色の、少し癖のある長い髪、翆玉を思わせる綺麗な眼、すらっとした体型で、絹のように滑らかで白い肌を持つ女性。“絶世の美女”そう呼ぶに相応しい美しさだった。ただ、その姿に反して、口の悪い人でもあった。彼女は、“何を成す為に”あの場所にいたのだろうか。

―私は、そこで意識を失った。



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―夢を見た。
どこまでも続く、広い草原で馬を駆けていた。風を切り、春の匂いを嗅ぎながら。丘に上がると、小高い山の裾野にある、王都パリフィスが見えた。白く、高い壁で囲われている城塞都市。山の中腹部には、アトゥス王国の象徴、“白華宮”が白く、輝いていた。街の活気が、ここまでも聞こえてくる。人々が、騒ぎ、歌い、踊り、舞い上がっている。特に、祭りの日でもない・・・それなのに、人々は皆、幸せそうに騒いでいるのだ。

「やっと、ここまで来たな。」
私は、そう問い掛けた。

「はい。」

「やっと・・・本当の“平和”を手に入れた。お前と一緒に・・・。」
私と同じように馬に跨り、横に並ぶ“彼”を見た。“彼”は、私を見て笑っている。

「・・お前と一緒に見れた。・・約束を果たす事が出来た。なぁ、
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