9:皮肉
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スナが微かに震えた声で聞き返す。
マーブルは表情を鉄のように変えず、目を未だに表示し続けてあるスキルウィンドウへと移らせる。
「私のスキル一覧をよく見て」
よく理解できないまま、俺はそのウィンドウを改めて眺め直す。
当然だが、先程の通り《商業》系や《料理》スキルが最も高い事は変わらない。次いで《鍛冶》スキル等が高いのもそのままだ。
だが……
「あ」
無意識に喉から声が出ていた。
「なに、一体どうしたのよ……なんなのよ、キリト?」
横から尋ねてくるリズベットの言葉も遠く、俺は一覧の続きを見て、絶句していた。
「……気付いたかしら?」
最早、微笑を振りかけもせず、訊いてくる。
俺は言葉を紡げなかった。
「私は戦う時、重い鎧とかは付けないわ。いくら筋力ステータスが高くても、重苦しい着衣感は完全に消えないから、それが苦手でね」
「一体、何を言っているんですか……?」
先程とそのままの声色で、アスナが殆ど同じ内容をリピートした。
「……アスナ。マーブルさんはな……ユミル達と同じだ……」
それに俺が答えた。自分でも驚くほど、声が乾いていた。
「キリト君……?」
「マーブルさんは……いや、マーブルさんも……」
だが、かろうじで出たその声も、力む喉で途中で途切れてしまった。
それに頷いたマーブルが、まっすぐに俺達を見据えて言葉を継いだ。
「ええ、キリト君の思っている通りよ。本当はユミルが降りてくる前に言おうと思ってたんだけど、ようやく心置きなく言えるわね」
薄く息を吸い、とうとうその意味を示す言葉が、彼女自身によってアスナ達に告げられた。
「――私は、ユミル達と同じ《大鎌》習得条件を満たした《死神》容疑者よ」
『……………』
俺に続いて他の三人が口に手を当てて絶句する中、俺の目はずっとウィンドウに釘付けられている。
そこには……《鍛冶》スキルに並んで、かなりの数値を示すスキル郡があり。
その中に主力戦闘スキルである《両手戦槌》に続いてさらに……《両手斧》スキルのフォントが無慈悲に表示されていた。
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