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ソードアート・オンライン リング・オブ・ハート
9:皮肉
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た時の彼女の表情は、真剣味溢れる剣幕で強く引き締まっていた。

「あの子の為なら、私はどんな協力だって骨身を惜しまないわ。……さっきみたいなやり取りをしておいてなんだけど、私はあの子の事をこの世界では一番知ってると自負してるわ。と言っても、詳しい事は私にも殆ど話してくれないから、言うほど細かく知らないけれど……答えられる範囲でよければ、何だって教えるわ」

「じゃあっ……ユミルちゃんはなんで、フレンド申請の時、さっきみたいな事を言って……」

 リズベットが我先にと、我慢出来ないといったように切り出した。よっぽどフレンド申請を断られたのがショックだったのだろう。

「その事については、本当にごめんなさい。もう分かってるかもしれないけど、あの子は……」

 マーブルは一息置いて、テーブルへと目を伏せた。

「――あの子はね、決して誰も信用しようとしないの」

「信用、しない……?」

 リズはますます哀しげな声色を強めて言った。

「ええ。……あの子は誰にも頼らず、一人で生きようとする。フレンドも一人も居ないの。あの子とはもう長い付き合いだけれど……私の事も頑なに店主と客の関係……ただのビジネスパートナーとして接しようとする。最初は私の事を、ずっと『店主さん』ってNPCみたいに呼んでたわ。マーブル、と名前の呼び捨てで呼んでくれるようになったのは、本当につい最近の事なのよ」

「そんな……どうしてなんですか」

 シリカも同様の反応を見せる。

「それは私にも分からない。何度も尋ねたけれど、一向に話そうとしなかったわ」

「……そうですか……」

 シリカが力無く顔を伏せる。リズベットはそんな彼女を励ますように、ぽん、とその頭に軽く手を置いた。
 次は俺がマーブルに質問する。

「それからもう一つ。ユミルが顔を隠したがる理由はさっき分かった。けど、あのボロボロの姿には、何か理由が?」

 俺は素顔知れぬ頃から疑問に思っていた。デイドの激昂に誰よりも早く気付き、地に伏せさせてみせた彼女の身のこなし……思えば、彼女は俺達に隙を見せる仕草は一切見せなかった。それだけで俺の勘は、彼女がこの階層でも通用するプレイヤーだと断言している。
 だが、そこまでの実力であれば、例え毎日高級宿に泊まろうが、日々それなりにコルの貯蓄が可能で、あんな姿に成り果てない筈なのだ。余程無計画にコルをレア装備やギャンブル等に湯水の如く注ぎ込まない限りは。……だが、彼女がそんな事をする人物にはとても見えない。
 俺の問いに、若い女店主は軽く苦笑いをした。

「まぁ……気になるわよね、あの子があんなカッコしてると。私も、あの子があのカッコ以外の姿してるの、見たこと無いから」

「何故なんですか? シリカちゃんとそんなに変わ
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