第一部 vs.まもの!
第12話 つかのまのきゅうそく!
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人歓迎用にもらったものだし。いいのよ、あたしの好みの銘柄じゃないの」
彼女は足下からもう一本のボトルと自分専用のグラスを出す。ウェルドはもらったワインの栓を開けた。
「おいおい……」
「おいパスカ、言っとくけど俺の出身のセフィータでは十四歳で成人だからな!」
「ホントかよ」
「ウェルド、そう言えばさあ」
ジェシカがパスカの隣から身を乗り出してくる。
「あんた何日か前に酒場のおっさんから仕事もらったんだって? なんとかってお宝探すやつ」
「ああ、受けたぜ。急いでるって言うからな」
「もおおおおおっ、何でそんなうまい話にあたしを誘ってくれないのよお!」
「いや、んな事言われても……」
「で、いくらで受けたの?」
「ん? 百二十ガルド」
「なにそれ! 安すぎじゃない!?」
「いやいや、これでも通常の倍の値段だって――」
「甘い!!!」
ジェシカがびしっと指を突きつける。
「仕事を頼むにしてもさ、まだ遺跡に潜った事もない新人なんでしょ? 最初に三百くらいは提示させなきゃ! ましてや急ぎの話なんでしょ!? そこから吹っかけたとしても五百、交渉して四百五十、妥協点は四百ね。そんくらいは取れるじゃない!」
「お前、がめついなー!」
ノエルも呆れて頭を振る。
「あなた、よくもそんな事思いつくわね」
「これくらい、あったりまえでしょ! あんたから見たらあたしなんてただの馬鹿かもしれないけどさ、お金の算段なら負けないよ!」
ウェルドはグラスを空にすると、二杯目を注ぎ、何となく隣を見たらルカがわけもなく恐縮したふうに体を小さくしてパンを食べているのでその目の前に置いた。
「えっ!?」
ルカがびくっと震える。
「飲めよ」
「えっ、えっ?」
「お前も飲めって」
「だ、だめです! わたしは聖職者ですし!」
「いいからいいから!」
「こらー!」
シャルンがテーブルに手をついて立ち上がった。
「嫌がってる人に無理強いしちゃダメでしょ! やめなよ!」
怒られてしまった。
「こんなに賑やかなの、ここに来て初めてだなぁ」
今まで存在に気付かなかったが、斜め向かいにアッシュがいてしみじみ言う。
「ウェルド、今まで顔合わせる機会がなくて言えなかったけど、ありがとな。ラフメルの葉を探してくれて。おれ、君は来てくれないと思ってたから」
「あ? ……別に。いいっていいって」
「ウェルド、僕もだ。君がラフメルの葉を見つけたんだって聞いた時嬉しかった」
「だぁから、やめろって!」
アーサーにまで言われ、ウェルドは気恥ずかしくなって髪を掻き、あらぬほうを向いた。
不意に流麗な音楽が耳を撫でた。いつの間にか起きあがったオルフェウスが椅子に掛けて膝を組み、リュートを奏でている。異国情緒をかき立てる調べだった。こん
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