DAO:ジ・アリス・レプリカ〜神々の饗宴〜
第二十三話
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ミナト様の所であったか」
「そうじゃったな、今日はあの方の誕生日であったか……」
「……もうすぐですよ、ミナト様が外に出られるようになるのも」
***
ところ変わって、話題に上っていた《その存在》は、白い道を歩いていた。だが、以前エリィや青い髪の少女が歩いていた時とは異なり、その白い少年が道を歩くごとに、時空が悲鳴を上げてきしむようであった。
少年の後ろに着き従うのは、機械の兵装で身を蓋った、白髪のメイド。
「ここまででいいよ、ミカ」
「了承」
ミカと呼ばれたメイドが、機械めいた応答を返す。
「さすがに娘の誕生日だ、グリヴィネに来てもらうわけにもいかなくてね。君を呼ばせてもらったんだ。すまなかったね」
「いえ。お気になさらずに。私はお兄様の人形ですから。いつでも、どこでも」
ふっと微笑んだミカを見て、白い少年も笑う。
「そうか。ありがとう。それじゃぁ戻っていいよ」
「はい」
直後、ぐぃん、と時空が歪んで、ミカの姿が掻き消える。同時に、少年が何もない壁に手をふれた。その壁もまた、歪む。出現したのは、鎖と大がかりな錠で縛られた、一つの扉。
少年は鎖たちに手をふれる。瞬間、鎖たちがその手を恐れるかのように何処へと消えていった。
少年は自由になったドアノブに手をかけ、その扉を開ける。
中は、夜であった。この部屋の窓の向こうに見える景色は、一年中、五年中、十年中、そう、永遠に夜のままだ。少年が、『変わってよい』と許すまで。
「皆徒、来たよ」
少年が恐らく普段眷属たちにすら見せないであろう優しい笑みと声で、部屋の中に入る。直後、明るい声が聞こえた。
「お父様!」
少年は、部屋の中央を占める巨大な天蓋付きベッドに進む。そこには、一人の少女がいて、上体を起こしていた。
金色の髪の少女だった。頭頂に、一房だけ反対向きにはねた髪のある、癖っ毛の少女だ。目の色は、少年や、その眷属たちと同じ紅蓮。表情は満点の笑顔。
「やぁ、皆徒。久しぶり。元気そうで何よりだ」
「えへへ。お父様が来るのを楽しみにしてました〜!」
そうか、と笑い、少年は皆徒と呼ばれた少女に近づき、その頭をなでる。
「お誕生日おめでとう、僕の娘。これでまた、君の《誕生》に近づいたね」
「はい!お父様と『会える』のが、今から楽しみです」
ふふ、と少年はまた笑う。そして、どことも知れない空間から、いくつかの物を出してきた。
「これはみんなからのプレゼントだよ。このネックレスはグリヴィネの、着物はエリィだ。こっちの絵本は
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