十二章 幕間劇
相談事
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」
「ん?まあその・・・・なんだ・・・・」
「もしかして戦の前に興奮して眠れなかったとか?」
「まあそうかもしれんがな」
壬月は新兵じゃないから、冗談のつもりで言ってみたのだが、何かあるな。しばらく無言の状態で目を瞑り、頭の中に映像が映った。これは過去の事だ。誰でも見れるという訳ではない、こうやって背中でくっつけたり手を握った状態なら少しだけ見れるのだ。そしてしばらく見たら、目を開けて言った。
「壬月よ。悪い夢でも見たのかな?」
「一真様は何でもお見通しのようだ。今日は早めに用事を済ませて寝たのだが、夢の所為かすぐに目を覚ましてしまってな」
「壬月の考えというより過去を見ただけだ。それでどういう夢だった?」
「過去か。そうだな、つまらない夢だが、昔から血塗れになった自分が死者達に罵倒されるという夢を、たまに見る事がある」
「そうか。・・・・それで?」
俺は壬月に振り向かずに答えた。
「その夢を見て思うのだが。自分は呪われているのではないか?と。何しろ罵倒してくる死者達の中には敵だった者だけでなく、戦で散っていった味方の顔がある。まあ奴らに恨まれるのも無理はない。一軍を率いる将としての私の命令は、敵だけでなく、時には味方の命までを悪戯に奪う事がある」
「それは壬月が悪い事では無い。結論から見てそうなる運命なのかもしれないのさ」
「運命か。それもそうだが、誰かが請け負わねばならぬ役目なのだから、命令を下しても誰も後悔はしない。だが、多くの命を奪っているという事実は変わりはない。そういう罪の意識が、呪われているようにしか思えぬ夢を見せているのかもしれん。その夢を見て起きると、汗だくなのでこうして水浴びでもしたくなるのさ」
全てを聡い、受け入れているように感じた。俺はすぐには答えずに、黙っていたが。水の精霊が語りかけてきた。それなら、聖なる水を飲めばその悪しき夢を浄化できるのではないか?と。なるほど、確かにそれは良さそうだが、それでは一時的だなと思いながらも考えていたが。
「大丈夫だ」
「・・・・大丈夫とは?」
「壬月には仲間がいるではないか?それに悪夢を見たら仲間に話してスッキリするのもいい事だと思うぞ」
「・・・・・・・・・・・・」
「まあ、俺は付き合いは長いような気がするが、田楽狭間よりの過去は知らない。が、俺が思うに頼れる仲間がいる事を忘れない方が良い。人間っていうのは、何か悪い事があれば知人や友人に愚痴を語ったりする。そしたら相手は励ましてくれるだろう。それに俺は神だ。悪いモノがあれば、浄化という力で心身を浄化するから、その悪夢に出てくる兵達の罵倒を排除できるかもしれないけどな」
「一真様が皆を引きつける理由が、改めて分かった気がします。
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