十二章
降伏した理由
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ぞ!今は一つ一つ物事を進むのが、いいと思うのだ。分かってくれ、エーリカ」
「・・・・・・・はい」
頷いたエーリカだったが、表情は暗いままだ。焦りや苛立ちを抑え込むには、ターゲットの距離が近いからであろう。
「ふむ・・・・異人殿に聞きたいのだが。あのザビエルとやらはどのような者なのだ?」
「どういう事だ?勝竜寺で会ったと言っておったではないか」
「然り。しかしそれが初見だ。大和の宗門から夷狄排除の要請があり、何度か事を構えた事もあるが、あれ程流暢に日の本言葉を操る者が居るなど、聞いた事もなかった。だが、どうやら三好は知っていたらしい」
夷狄・・・・夷狄とは、ここでは天守教の司祭や信徒の事を指す。
「三好が知っていて、畿内を牛耳る貴様が知らんとは、また面妖な話だな」
「畿内全ての事を知り通す程の目もなければ耳もないが、京の事ならば、目も耳のあった。だが私は、奴を知らなかった。だから異人殿に聞いているのだ。奴はどのような者なのだ?と」
「・・・・・・・・・・」
「梟が知らず、だが三好は知っていた。・・・・これは何を意味する?」
「三好氏の本拠地は阿波。となれば、恐らくは湊周りで繋がりがあったと見て間違いないでしょう」
「海を活用している三好と、内陸が活動範囲の私とでは、情報網の違いがあったという事か」
「湊で名前が知れていて、かといって洛中では特に話題になっていない所からして、船をねぐらにしている可能性が高いでしょう」
「船か。それは盲点だったな」
船があればどこにでも行けるからな。
「これは行方を掴むのは無理そうだな」
「だが今、奴がいる可能性が一番高い場所は分かる」
「越前か」
鬼の楽園を作るための拠点として越前を落としたのなら、次の手を打つのも拠点を確たるものにしたいと考えるはずだ。
「次の手を打つ前に、こちらの状況を整える必要がある。今は出来るだけ早く一葉と合流せねばならない」
「うむ・・・・」
頷いた久遠が、白百合に向き直った。
「弾正少弼」
「はっ」
「以降、我が手足となって働け」
「ふっ・・・・御意」
「と、殿っ!こやつの投降を、本気で受け入れるおつもりですかっ!?」
「それは余りにも危険。松永弾正少弼といえば、附子さえも恥ずかしくなって身を隠す程に、強力な毒を持つ梟雄。向後の事を考えれば、今、ここで禍根を断っておくが上策かと思います」
「・・・・だそうだぞ、梟」
すると、白百合は爆笑していた。まあ気持ちは分からんでもない。鬼柴田や米五郎左という大層な二つ名を持ちながら、何やら臆病千万な物言いだからな。俺だったら大笑いした後に、なめてるのか?と確かめる。
「何だとぉ!
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