十二章
瀬田の大橋へ急行
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頭を下げた歌夜が、上目遣いで俺を見る。
「しかし、私如きに易々とお声掛け下さるなんて。相変わらず何だなと思います」
「相変わらずというのが気になるが、気にしないでしておこう。歌夜は葵の護衛か?」
「はい。我ら松平家は立ち会い、という立場になります。しかし相手はあの松永弾正少弼。・・・・何があるか分かりませんので」
「その判断は正しいけど、小波をそちらに返そうか?」
「いえ大丈夫です。葵様は私一人で充分、お譲りする事は出来ますから!」
「ええ。歌夜に任せておりますれば、小波は一真様がお使い下さいませ」
「ありがとう。ちょうど小波は一真隊に居てもらわないと困るからな(衛星カメラやトレミーで詳しく情報経由できるがこの場合はこう言わないとな)」
「まぁ・・・・ふふっ」
冗談のように言ってみたら、葵は微笑みで返したけど。
「一真様」
「壬月か。柴田衆の配置は完了か?」
「うむ。滞りなくな。・・・・三若率いる母衣衆も配置についた。譲りは万全だが・・・・」
「軍勢は軍勢にしか対応できねーからな。一真、久遠様の譲りは一真が頼りなんだ。頼むぞ」
「誰に物言っているんだ?人一人守れなくて何が神仏の類なんだか」
ここにいる全員が久遠の事を大切に思っている。なら、その願いを叶えるのが神の役割だ。
「で、一真様の隊の配置はどうなっておる?」
「一真隊は、小波が草刈り。俺と鞠で久遠の護衛。詩乃は軍師。ひよ、ころ、梅の三人が隊の指揮を担う・・・・ってな感じだ」
「ふむ。・・・・詩乃。もしもの場合は詩乃の軍略に頼る事になる。しかと頼む」
「承知致しました。状況把握に努め、事ある時は素早く対応致しましょう」
「うむ。・・・・では殿」
「・・・・(コクッ)」
「休憩は終わりだ!進軍するぞ!全員駆け足ー!」
壬月の下知を受け、馬廻りは騎馬に鞭を入れ、足軽達は駆け足で動き始める。街道を砂煙を上げながら走る織田の軍勢。その流れに、身を任せながら空を見上げた。俺らの真上にはトレミーがいるし、鬼が出るのか蛇が出るのかドウターが出るのか?二条館にいるはずの一葉達の事も気に掛かるが、俺達は麦穂が待っている瀬田の大橋に向かった。やがて時間が経過して俺達が瀬田に到着したのは夜になってからだった。
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