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人狼と雷狼竜
ひとつの答え
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 響き渡る咆哮。
 ヴォルフの発したそれは、ジンオウガのそれと比して全く勝るとも劣らない衝撃を持って、周囲に響き渡った。
 とても人が発した物とは思えないそれを至近距離で浴びせられた者達は、一人も例外なく両耳を押さえて地に伏せた。
 対峙する双方はそんな事は気にも留めない。砕け散った落ち葉が地面に落ちる寸前に動いていた。
 低い姿勢を保ったままで懐目掛けて突進するヴォルフ。ジンオウガは――――――




「な、何が起こったの!?」
 耳鳴りが収まらない両耳を押さえたまま、顔を顰めた神無が思わず口にした。
 言葉通り何が起こったのか皆目検討もつかない。何かが耳元で爆発でもしたかのような……そんな大音量が鼓膜に直に叩きつけられた……そんな感じである。
「確か、ジンオウガが咆えて……」
「ストラディスタもだ。一体何処からあんな声を……」
 朱美達が率いるハンター二人が状況を整理したのか、顔を顰めながら言う。かなり大声を出しているが、先程のショックのせいか遠くから聞こえるような感覚だ。
「でも、何で葉っぱが吹き飛んだんだ?」
 朱美が地面に散らばった無数の木の葉の破片を見て呟く。
「剣気……」
 そして、その呟きに答える者が居た。小冬だ。
「剣気。一部の達人が放つ気はある種の衝撃波となって周囲に放たれる……とかなんとか」
「……ちょっと待て、アイツが達人ってのは分かるけどな。ジンオウガの周りのも吹き飛んだように見えたのは何でだよ?」
 太刀を背負ったハンターが尋ねる。
「ジンオウガも同じ」
「……何だって?」
 空耳だったら良い。その言葉の言外にはそんな願いが込められていた。
「あのジンオウガも、達人とか、そういう類のモノなのよ」
「じゃあジンオウガ((アイツ))は……」
「正真正銘の化け物よ」
 モンスターでありながら達人の類……それを表す言葉は、小冬はそれしか持ち得なかった。
「ヴォル君!」
 神無の言葉に一同は我に帰った。話し込んでいる場合じゃないという今の状況に今更ながら気付く。未だに不調な聴覚はこの際置いて、音爆弾も真っ青な大音量を吐いたハンターを探す。
 一行の視界に入ったヴォルフは、獣染みた俊敏性としなやかな動きでジンオウガの爪を回避した所だった。




 振り下ろされる前足が地面を穿つ。ヴォルフの記憶の中の一撃に比べるとそれは大した力は込められていない。
 以前のそれは地面を穿つ所か爆発のような衝撃波まで放ち、周囲の物を吹き飛ばす威力だった事を鑑みれば明白だ。それでも直撃を被れば人体など柔らかい果実の如く潰れる事は確実だが。
 ジンオウガは、ヴォルフが初手で攻撃を誘いその際に生じた隙を狙っていることを見抜いていた。
 故に打ち込むのはジャブのような軽い一撃。回り込まれて
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