ひとつの答え
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れたモノだろう。
「シャアアアアア……」
ナルガクルガの双眸が真紅の光を放つ。その視線の先には倒れたヴォルフの姿があった。
「まずい。やる気だぞアイツ」
テツが大剣を構えながら呟く。
「畜生……勝ち目なんか無えぞ」
タクは死を悟ったのか背負った太刀を抜こうともしない。
「そうかよ。じゃあとっとと逃げろ」
正太郎が銃槍と大楯を構えて前に出て言った。
「んだとてめえ!?」
正太郎の言葉を侮辱と受け取ったのか、タクが怒鳴った。
「じゃあ剣を抜けよ。一人でも多い方が、何とかなるかも知れねえぜ」
「正太郎、キミは……」
「チッ……」
正太郎の思わぬ言葉に、朱美は驚いたように目を見開いて何かを言おうとするが、タクが舌打ちしながら太刀を抜いた為に言葉を引っ込めた。
彼女が最後に見た正太郎は、己の太刀を自信と共に切り裂かれて、失意のどん底にあったものだった。
それが、この状況で絶望した者を挑発して戦線に復帰させた。人狼と呼ばれたハンターとの間に何があったのかは彼女の知るところではないが、ここまで変わるとは思っても居なかった。
「ギィィィィアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!」
ナルガクルガが咆哮を上げた。
最後尾で固まっていた湯治客達が悲鳴を上げるが、ナルガクルガの声の前では音にすらならない。
「来る!」
小冬が叫ぶと同時にナルガクルガが尾を天に掲げ、その尾から刃物のように鋭い鱗が逆立ち、無数の棘のように立った。
「撃って!」
梓が矢を放ち、夏空の火砲が火を噴く。
しかし、放たれた矢と砲弾はナルガクルガが左に体を逸らして回避され、お返しとばかりに振るわれた尾から複数の棘が弾丸のように放たれる。
「くっ!?」
大楯を持っていたダイゴと正太郎は咄嗟に楯を前に出した事で、少なかったこともあって偶然にも全ての棘を止めた。しかし、放たれた棘は厚さ五センチ以上もの鉄板の楯を貫通しかかっていた。
直撃を被れば良くて重傷だろう。凶悪な代物だ。
「喰らいやがれ!」
正太郎がナルガクルガに銃槍を向けて引き金を引く。それに合わせるように梓が矢を放ち、夏空の火砲が砲弾を吐き出す。
しかしナルガクルガは飛来する弾や矢を悉く回避し、あろう事か一行を飛び越えて背後に降り立った。そして瞬時に向きを変えて、間髪入れずに一行へ飛び掛かる。
狙いは武器を手にしているハンター達だった。敵の持つ牙を最初に砕く為だ。武器も持たない人間など脅威ではない。
「く!?」
唯一反応出来たのはテツだった。鉄塊のような大剣を楯にしてナルガクルガの刃のような翼を受け止めていた。
刃が交わった瞬間に、彼の背後に居た椿を始めとしたハンター達が彼の背を支え、辛うじて拮抗に持ち込んだ。着地時に急制動を掛けたせいで刃の翼
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