ひとつの答え
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はまだ学ばないといけないことが多過ぎるし」
「……」
タクの顔には葛藤が浮かんでいた。個人的に小冬の意見には賛成ではあるが、現実的に考えてその意見を良しと言えない。
だからと言ってこのまま下がれば小冬はジンオウガに突貫するだろう。それは最悪の事態を意味する。
不意にジンオウガが動いた。刀を杖にして起き上がろうとするヴォルフへ近付き、無造作にその大きな尾で薙ぎ払った。
それは烈風となって地面を走ると共に、その衝撃でヴォルフを神無達の目の前へ弾き飛ばしていた。
「う……ぐ……」
「ヴォル君!?」
「なっ!?」
突然の事態に、周囲の面々が状況が飲み込めない中、椿はジンオウガを見た。
「見逃してくれるの?」
「奴め、正気か?」
そんな呟きとも言える声を、テツと呼ばれた大剣を手にしたハンターが半信半疑と言った顔でジンオウガを見やる。
ジンオウガの視線は既に人間達の方を向いてはいない。もはや興味は尽きたといわんばかりに森の奥を見据え、去って行った。
「弱者に用は無い……か」
テツが大剣を地面に突き刺しながら静かに呟いた。声音こそ静かだが、柄を握り締める手は屈辱と怒りで震えていた。
「命あっただけ良しだよ」
朱美が小銃から銃剣を外しつつ窘める。
「二度と会いたくねえ」
タクが太刀を鞘に収めながら吐き捨てるように言う。
「大した打たれ強さだな。骨も折れてない。すぐに目を覚ます」
そんな中で、ダイゴと呼ばれたハンターはヴォルフの容態を見ており、神無と夏空は涙目で安堵の息を吐いていた。
「……最悪の事態は避けられたわね」
「ええ」
梓の言葉に、小冬が湯治客達に声をかけている椿を見ながら相槌を打つ。
「っ痛ぅ……野郎、何処に行きやがった!? ……あれ?」
梓が小冬に事態の収拾を促そうとすると、先程の砲弾の爆風を受けて伸びていたらしい正太郎が、立ち上がりつつ周囲を見渡す。
しかし既にジンオウガの姿は無く、視界に写るのは呆然と彼を見るハンター達とその他の面々で、正太郎はその気まずい空気に視線を逸らすしかなかった。
「やけに静かだと思ったら、伸びてたの?」
小冬の言葉で正太郎がギクリと硬直した。誤魔化しようの無い事実だ。
「そ、それよりも……」
その時、正太郎が言葉を紡ぎきる前に、僅かな音と共に何者かが空から降りて来た。
「っ!?」
「あ、あれは!?」
ハンターであれば実物を見たことがなくとも、伝え聞くものや描き出せれたもので知る機会はあるだろう。
新たに現れたソレは、森林地帯に生息するとされる飛竜『ナルガクルガ』だった。
「あの額の傷……あの時の!?」
梓が見つけたそれは、ナルガクルガの額に刻まれた斜めに奔る一筋の刀傷だ。先日、ヴォルフと遭遇した際に斬り付けら
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