ひとつの答え
[5/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
と共に衝撃波が全身に叩きつけられた。
視界が真っ暗になって、全身を強く打った上で固い土の上を転がるような感覚が襲う。
激痛の中で、戻った視界が木々に遮られた空を捉える。ヴォルフは自分が地面に倒れている事をそれで理解した。
……どうやらまた負けたようだ。
「クソっ! 今行くぜヴォルフ!」
「正太郎さん!?」
ヴォルフが倒れたのを見て我に帰った正太郎が加勢すべく銃槍を構えて走り出し、それを見た神無が声を上げる。
「やるしかありませんね」
狼狽する神無を他所に、夏空も砲弾を装填した火砲を此方に背を向けているジンオウガへと向けて構え、既に行動の準備が出来ていた朱美達の方を向いた。
朱美は銃剣を着剣済みの小銃を槍に見立てて構えており、他の面々も各々の武器を構えて頷いて駆け出した。
夏空が引き金を引き、轟音と共に拳大の砲弾が吐き出された。
放たれた弾丸は空気を切り裂き、ジンオウガのその無防備な背に突き刺さる……筈が、無造作に振るわれた強靭な尾が砲弾を弾き返した。
異音と共に弾かれた砲弾は弧を描いて、前進していた正太郎の目の前に着弾し炸裂した。
「ぶわッ!?」
『!?』
正太郎は衝撃で吹き飛ばされ仰向けに倒れ、残された面々は思わず硬直する。
撃たれたにも関わらず、ジンオウガは振り向きもしない。脅威と認識すらされていない。
「マジかよ……!?」
「……冗談きついぜ」
「化け物め……!」
朱美の連れ達が悪態を吐き、夏空は呆然としていた。振り向くこともなく払った尾の一撃は不意打ちの筈だった砲弾を弾き飛ばした。それは、自分達の無力さを思い知るのには十分すぎた。
「……撤退だ」
不意に小さな声が出た。
「え?」
「撤退するぞ」
タクが搾り出すような声で言った。
「撤退って……正気なの?」
「……今なら逃げられるだろ。あのジンオウガには全員でも歯が立たねえ」
梓の問いに、少しの間を置いて答えた。
「ヴォルフを見捨てるっていうの?」
「……仕方ねえだろ? 全滅よりゃあマシな条件だぜ」
彼の言葉は確かに現実的ではあった。彼の仲間である朱美を始めとしたハンター達も、表情に苦渋が浮かんでいる。
「……早くしろよ。お前達の目的は非戦闘員の救助だろ?」
「私は残る」
「何だと?」
小冬の言葉にタクは思わず硬直した。他の面々も目を見開いている。
「私はアイツを見捨てない」
小冬はそう言って二刀を抜き放つとジンオウガへ向かって行く。
「待てよオイ! 死んじまうぞ!?」
「私はあの時死ぬ筈だった」
タクの言葉に、小冬は振り返らずに答えた。
「あの時、私はドスジャギィに殺される所だった。でも、アイツが来たから今も生きてる」
「それが理由か?」
「そ。それにアイツから
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ