ひとつの答え
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も次の行動に移る際の隙は最小限に抑えられている。
何度目かの、まるで巨大な大槌で叩くような前足での攻撃を跳んで躱しつつ、それでも一足で懐に踏み込める間合いを維持した距離を取る。
攻める手段が無い。
そう思うほどに、ジンオウガの立ち回りは隙が無い。
ナルガクルガの超スピードによる撹乱と翻弄とは違う、老練な戦士としての立ち回り。
隙のように見えるのは明らかな罠だ。迂闊に切り込めば即座に必殺と言えるカウンターの一撃を繰り出して来る。
ヴォルフ自身もジャブを打てればいいのだが、迂闊な事は出来ない。何故ならそれが致命的な隙となってジンオウガの必殺を許す事になりかねないからだ。
不意にジンオウガが地面を大きく踏みしめるように姿勢を低くした。
(来る!)
そう思った時にはジンオウガは既に動いていた。
先程までのそれは本当にジャブだったと今更ながら思い知らされる、容赦の無い渾身の一撃。
大量の爆薬が炸裂したかのような爆音と共に、グラウンド・ゼロとなった地点にあった物が宙へと吹き飛ばされる。
雷狼竜とはよく言ったものだ。その一撃は雷神のそれであり、ジンオウガをこの地で最強と呼ぶ所以だ。
だが……当たらなければ意味は無い。
あの一撃をヴォルフは敢えて真上に跳ぶ事で避けた。一か八かの紙一重を狙う賭けだったが、それでも上手く事は運んだ。
大地を穿ったそれが発した衝撃波はヴォルフを更に宙へ押し上げ、ヴォルフに足場を与えた。大樹の太枝という、願っても無い足場を。
その足場を踏み締め、真下に居るジンオウガへ向かって跳ぶ。足場の聞かない空中での抜刀は確実性を欠く為に、刀は既に抜き身となっていた。
腕を振り抜く際の力を用いての薙ぎ払い。全身のバネを使った渾身の一撃を繰り出し――――――その前に、全身を用いて独楽のように回りつつ跳んだジンオウガの尾がヴォルフの前面を捉えた。
「ガハッ!?」
地面に叩き付けられた。
常人ならば気を失ってしまうほどの痛み……だがヴォルフは持ち前の精神力と打たれ強さで意識を保ち、何が起きたのかを理解していた。
ジンオウガが対空攻撃を持っていないと考えなかったわけじゃない。まさか、あのタイミングで仕掛けてこれるとは思っていなかった。
「誘導されたか……」
自分は誘導された……跳ぶように仕向けられた。自分の特性を逆手に取られたのだ。
このジンオウガと以前出会ったあの時は、一方的にやられただけだ。にもかかわらず、自分の戦闘方法を見抜かれているのではないか?
更に言えばあの一撃……奴の尾は鱗が変化した逞しい棘のような殻に覆われており、鑢をそのまま大きくしたかのようだ。
本来ならば文字通りのボロ雑巾になっていた筈……否、無数の肉片にされていたもおかしくな
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