”狩人”フリアグネ編
二章 「紅蓮の少女」
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敵は去り、少女と俺だけが残される。
あの爆風が身体に響くな。
なにせ、殆ど縦に真っ二つにされている。
倒れてたから無事で済んだものの、何かしらの残骸が身体に命中していたら、分裂死体が完成していた所だ。
「あの『燐子』の言い方…大きいのが後ろにいるかもね」
少女に言葉にペンダントが答える。
「うむ、久々に『王』を討滅出来るやもしれん」
寝転びながら少女の方を見る。
ちょうど、横に大太刀を一振りして納刀の動作を取っていた。
あれだけ大きな刀だが、刀に振り回されている様子は全くない。
純粋な力だけでなく、長刀のバランスの取り方も上手いのだ。
余程の達人と見て、まず間違いないだろう。
そのまま少女は大太刀をコートの中に押し込む。
何故か大太刀はコートを突き抜けることなく、刀身から消えていった。
あの刀は俺の様な投影品ではない為、霧散しているのではないだろう。
――――あれ?
なんで投影品じゃないって分かるんだ。
俺はあの刀を解析していない。
なのに何故か一部を解析した様な気がする。
そこで身体を焼く様な痛みの奇っ怪な点に気付く。
そもそも、俺は斬られたのになぜ、焼かれる様な痛みを感じているんだ。
―――分かった気がする。
切断面の痛み―――、固有結界が暴走してるみたいだ。
結界内にあの大太刀を保存しようとしたんだな。
剣を生成しては破棄する動作を繰り返して、完全に自傷状態じゃないか。
こういう時は、暴走している回路を切れば良い。
―――回路閉鎖。
オンにしていた回路をオフにするだけの簡単な作業だ。
回路のオン・オフを切り換えれなかった時代が懐かしい。
回路を閉鎖すると、身体の痛みがすっかり収まった。
不思議な事に切断された痛みがないのだ。
――というか、なんで俺は生きてるんだ?
普通に考えたら即死だろう。
全て遠き理想郷はセットしていないから、治癒もされてない。
それに今の鞘には、あんな吸血種じみた蘇生能力はないし。
まぁ、そういう事は斬った張本人に訊けば良いだろう。
まさかとは思うが、何も考えずに俺を斬ったなんて事はないだろうし。
―――ないと思いたい。
思案を巡らせている内に、大太刀は何処かに消えてしまっていた。
状況からみて、消えたなんて事はないだろうから、おそらくは別の空間に格納されたのだろう。
かの有名な四次元なポケットの如く。
全く、あのコートは英雄王の蔵のような物なのか?
とりあえず、幸か不幸か同じ様な事例を知っている俺。
―――嫌な奴の事を思い出してしまった。
慢心王の事を忘れる為に少女の方を見る。
「うん………あ〜あ、あの『燐子』ちゃっかりと手下の集めた分は持ってっちゃった」
肩をすくめて、少女はペンダ
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