”狩人”フリアグネ編
二章 「紅蓮の少女」
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なんと言うか、つくづく体内に宝具を容れるのが好きな奴だな、俺は。
あの戦争の時は『剣の少女』の鞘を内包していた。
ちなみに未だにお世話になりっぱなしである。
まぁ、オリジナルは彼女に返したから、今使ってるのは『投影』した複製品なんだけどな。
「なる程な。灯がこの『体』のタイムリミットな訳だ。全く、厄介な物に付けられたもんだよ」
小さく愚痴をこぼす。
しかも、あのゼルレッチの事だ。
俺が守らなければならないのは、この宝具って事だったのだろう。
間接的には多くの人を守る事になってるんだろうけど、こんな厄介な状態は正直な話だが困まる。
後で解析すれば確証が得られるけど、多分『衛宮士郎』の魂本体はこの宝具にくっ付いていると思う。
まず、今の身体を自分の物と思えない。
上手く表現出来ないが、こう他人の身体を間借りしている感じがする。
あの状況で新しい身体となる器を、ゼルレッチが用意していたとは思えないし。
第一、自分の身体と同性能の容れ物なんて、そうホイホイと用意出来る訳がないだろう。
そんなのを作れるのは、封印指定クラスの魔術師しかいないし。
そのレベルの魔術師の知り合いがいれば、公に死んだ事に出来るよう遠坂が根回ししている筈だ。
居場所のない世界だったとは言え、死体を引き渡してしまえば、俺は晴れて自由の身だった。
それをしなかったという事は、案外とゼルレッチも余裕がなかったのかもしれない。
あんまり、無下に扱うのも失礼なのかもな。
とにかく、次は何処に転移するか分からない以上、戦いの準備など出来やしない。
現状で俺は今後、下準備もなく敵に挑む羽目になっている。
しかも消えるまでのタイムリミット付きで。
つまり、体が消える前に、転移先の地で俺を狙う危険がある際は排除しなければならない。
何もなければ、両手を挙げて喜べるという事だな。
「けどこれじゃあ、アイツとやることが変わらないな」
ふと『赤い弓兵』を思い出す。
アイツは、今の俺と同じ様な戦いの日々で自分をすり減らしていったのだ。
まぁ、人を殺さなくて良い分、幾ばくかは俺の方がマシだけどな、
「ん? まぁ、いいか。もっとも、お前はまだ灯が明るいから、暫く消えることはないわね。燃え尽きれば、お前に関わる全ての事象が無かったことになるわ」
あんまり長々と引き留めるのも悪いよな。
多分、これ以上の情報は得られない気もするし。
また日を改めて、訊くことにしよう。
「色々とありがとな。また今度で良いから、もう少し踏み込んだ話を教えてくれ。まぁ、残り少ない命の身でなんだけど、影ながら応援しとく事にするよ」
立ち上がって礼を言う。
確信がある。
この少女とはもう一度、会う事になるだろう。
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