暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
二章 「紅蓮の少女」
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「魔術――? そんな妖しげな物じゃないわ。これは自在法よ」

ふっ、もう驚かないぞ。
『魔術』じゃなくて『ジザイホウ』か。

もしかしたら、魔術はこの世界に存在しないのかもしれないな。
ほら、言わんこっちゃない。

魔術ないよ!
ジザイホウってなんだよ!?

謎ばかりが増えるな、全く。

これから色々と調べる必要が有るが、これほどの力を持つ少女だ。
仮に魔術が存在しているとして―――、それを知らない筈がないだろう。


「それに、正確には結界じゃなくて封絶。この空間では世界の流れ、因果から一時的に切り離されるの。『存在自体』を喰うから、喰われた人間は初めからいなかった事になるわ」

丁寧な説明ありがとう。
どちらにせよ一般的な物でないことに変わりはないって事だ。

「その喰われた存在の空白を埋めるクッションとしての『トーチ』って事で良いんだな?」
「そうよ。ゆっくりと存在を無くしていって、最後には消えてしまうの」

世界からの修正による衝撃を和らげる存在か。
全く、なんで俺はそんな身体になってるんだか。

不意にあの低い声が会話に入ってきた。

「我ら『紅世の徒』の中には、存在を無闇に喰らう事で世界のバランスが崩れ、我らの世界『紅世』に悪影響を及ぼす危険性を危惧している者が数多くいる」

今更だけど、ペンダントその物から声が出ているんだな。

「我ら? ペンダントのあんたもその『紅世の徒』なのか?」
ペンダントがその問いに答える。
「まぁ、そのようなものだな」
いやいや、姿も形も全然違うんだが。
見るからに……こう、危険な感じがしないと言うか。
まぁ、先入観で物事を判断するのは愚行だが。

しかし―――、これはかなり深刻な問題を抱える世界に来たようだ。

「とにかく、その危険を未然に防ぐために、存在の乱獲者を狩り出さないといけないでしょ。その使命を持つのが、私達『フレイムヘイズ』ってわけ」
俺達の会話が終わったと判断し、少女が確認を取った。

「ここまでは分かったよ。それじゃあ、アイツ等もあんたらも
俺の事を『ミステス』と呼んでいたよな。同じ様な炎が俺の胸にも有る……。普通の『トーチ』とはどこか違うのか?」
少女は一言、本当に変な奴ね、と小さく毒づく。
だが、あくまで軽く答えた。

「『紅世の徒』が、この世で作った宝具なんかを中に入れているトーチが『ミステス』よ」
宝具―――、ここでようやく聞き慣れた単語が出てきたな。

と言っても、その定義は俺の知っている物とは違うのだろうけど。
「そのトーチが燃え尽きると、中の物はランダムに次のトーチに転移するの。言ってみれば『旅する宝の蔵』ね。ちょうど転移したときに、お前は襲われていたみたいだけど」

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