”狩人”フリアグネ編
二章 「紅蓮の少女」
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いる身体を強引にくっ付けられる。
「お前、妙に冷静じゃない。変な奴」
おいおい、少しズレたからって断面を擦り合わせるな。
丁寧に扱え、丁寧に。
「馴れていると言うか、なんと言うか。まぁ、気にしなくても良い事だよ。それに、今回は思い当たる節があるし」
ふーん、と呟かれた後、接合面に息を吹き掛けられる。
一瞬燃え上がった様な気がしたが、気の性だろう。
気付けば分断された身体はすっかり治っていた。
上に着ていた服ごと。
というか学ラン着てたんだな、俺。
ちゃんと直ったでしょ、と溜め息混じりに言われる。
いやいや、こんな身体にした以上、ちゃんと治す義務があるからな?
とりあえず傷口を触った後、身体を動かす。
おー、治ってる治ってる。
今更ながら、少女と俺との間で何か根本的な事が食い違っている気がするが、気にしないでおこう。
「大丈夫みたいだな、ありがとう。――で、人間じゃないって言うんなら、俺は一体何なんだよ」
少女は座り込んでいる俺から離れる。
「『紅世の徒』に存在を喰われて、存在の消滅が世界に及ぼす衝撃を和らげる為に置かれた代替物である『トーチ』―――、それがお前よ」
『ミステス』の次は『トーチ』か。
もう、自分が何なのかさっぱり分からない。
「代替物………か。って事は、周りの人達もそうなのか?」
自分の胸の炎を指差して訊いてみる。
質問は山程あるが、今はこの世界の状況を知る方が先だ。
確実な返答が返ってきそうな物から質問しなければ。
「そうよ。そいつ等も皆、喰われた残り滓。胸の炎……、つまり『存在の力』を集めて喰ってる『紅世の徒』がこの街に居るの。お前もその犠牲者、世界中で起きている珍しくもないことよ」
『存在の力』か………。
魔力と似たような物の事だろうか?
確かに魔力も有りすぎて困ることは無いからな。
けど、残り滓ってのはいただけない。
あの人達だって今日を生きる人間だ。
それを残り滓だなんて言う権利がある人間が、この世に居て良い筈がない。
だが、今は堪える時だ衛宮士郎。
今、此処で口論になれば貴重な情報を逃してしまう。
常に冷静になる事を心掛けるんだ。
「珍しくないって、えらく物騒な話だな……所で、随分便利な魔術だな、この周りの結界みたいな奴」
とりあえずは別の話題に切り換える。
少し落ち着く余裕が欲しいし、周りの結界の事も気になるしな。
ついでに、この世界での魔術について探りを入れてみる。
あの愉快な魔法使いのおじさんは、もう信用しない。
人を何かよく分からないモノに仕立てあげるし。
この世界だって、魔法使いまみれのとんでもない世界かもしれない。
これがまた容易に想像出来る範囲での、危険な例だから笑えない話だ
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