”狩人”フリアグネ編
二章 「紅蓮の少女」
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その小柄な体からは考えられない程の爆発力を秘めていた。
一蹴りで首玉を吹き飛ばし、身の丈に迫る長刀を軽々と振り回す。
どう考えても人間離れであるその力に、俺はどこかサーヴァントと通じる物を感じていた。
そう――――、その戦いぶりはまさに。
かつて肩を並べて戦った『剣の少女』を彷彿とさせていたんだ。
「待て」
しかし、低い声の響きが制止の声をかける。
「迂闊に『ミステス』を開けてはならん。『天目一個』の時の騒動を忘れたか?」
また『ミステス』か………。
どう考えても、俺の事を指している。
一体、何なのだろうか?
少女は一言、冗談よ、とその声に答えた。
だが、あの低い声が賛成していたらどうなっていただろう?
考えるだけでゾッとする。
「あんた、そろそろ良いだろ? いい加減に返事しろ。さっきから人を物みたいに扱って、失礼じゃないか?」
もう一度声をかける。
今度は無視されることもなかったが、しかし少女は俺に冷淡に告げた。
「お前は人なんかじゃない―――、ただの物よ」
「な―――ッ!?」
衝撃的な返事だった。
落ち着けよ衛宮士郎。
新しい世界に降り立って早々に謎の人形に襲われたんだよな、俺は。
それだけでも、かなりショッキングな出来事ではある。
しかも、敵ごと斬られた俺は、絶賛分裂寸前だ。
あまつさえ、謎の少女に人間じゃないって言われるし。
けど、言われてみれば辻褄が合う。
あの人形達は一貫して、俺を人間と呼ばなかった。
アイツ等の言っていた『ミステス』ってのが今の俺なんだろう。
成る程、道理でこの傷なのに即死じゃない訳だ。
「ゼルレッチめ、よっぽど普通に送り出すのが嫌だったのか」
あの宝石翁だ、逆に合点がいく。
なんとなく納得している俺に少女は言う。
「何を言っているのか分からないけど、普通は驚いたりする所よココ。なんで、何の反応もない訳。もしかして『人間だったお前』とは本当に別人なの―――?」
なに言ってるんだ?
人間だった俺?
状況から考えて、気が付けば人間じゃなかったらしいし。
逆にこっちが聞きたいよ。
「何の事だかさっぱり――――って、何すんだよ!」
地面に倒れている身体を無理矢理に起こされる。
「何って、お前の身体を直すのよ。別にそのままで良いんなら、放っておいても良いのよ?」
そいつはありがとう。
ただ、一応は怪我人なんだから、もっと丁寧に扱って欲しいものだ。
「そいつは困る。けど、そもそもこんな身体にしたのはそっちだろ? ちゃんと責任をとって治してくれよ」
「普通の人間なら、とうに死んでるでしょ。どうせ最後に直せば同じなんだから、罠に使ったまでよ」
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