”狩人”フリアグネ編
二章 「紅蓮の少女」
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ントに語り掛けていた。
嘆息混じりな声がそれに返答する。
「うむ…抜け目のない奴だ…だが、この『ミステス』を渡さなかっただけでも良しとすべきだろう」
俺はと言えば、事情が全く飲み込めず、何に落胆しているのかさっぱり分からない。
少女は頷いて、右の人差し指を天に向けて突き立てた。
墓穴掘っても堀り抜けて、突き抜けたなら俺の勝ち―――、という訳ではない様だ。
光が弾け、周囲で幻が現れるように人々が形を取り戻す。
修復の魔術の様なものか?
破壊されたモノを直す、割とあらゆる物の基本的な事だ。
無論、魔術においてもそれは例外ではない。
最も、俺は使えないが。
だが全く元通りという訳ではないらしい。
彼らの胸の中心には灯が点っている。
まるで、修理された事の目印の様に。
そしてそれが自分の中にも有ることを今更ながら気付いた。
―――彼女に直された記憶はないんだが。
というか、むしろ殺されかけたし。
「『トーチ』はこれで良いかな、直すのに何個か使うね」
「うむ…それにしても…派手に喰われたものだ」
喰われた……、って事はやっぱり食事だったのか。
けど、奴等を倒した事で全部元通りになったみたいだし、これで一件落着だな。
「アレの主って、よっぽどの大喰いなのかもね」
少女がそう言っている間に、幾人かが一点に凝縮し灯となる。
その光景が意図している意味を、無意識の内に排除して、俺はただ見ていた。
多分、何をしているかは分かっている。
俺は少女を奴等と同じだと思いたくなかったんだ。
その灯は少女の突き立てた指先に集まった。
灯は弾けて火の粉と化し、破壊された繁華街を映像の逆回しのように修復していく。
こうして繁華街は、恐らく元の状態に戻った。
と言っても、元の状態を知らないから断定は出来ない。
ただ、一つだけ分かる事はある。
先程、凝縮し弾けた人達は―――世界から消えた。
「それにしても、コレ…変な『ミステス』ね」
「うむ、我らが自在法に気付きここに来ると、目の前で姿形が変化したからな」
敵を俺ごと斬った時ですら、彼女は何の声も掛けてこなかったが、ようやく俺に視線を向けてきた。
「――――ッ!」
その目を見たとき、思わず戦慄が走る。
何だあの目は。
少女はまるで物を見るかのような冷たい顔をしていた。
紅蓮の相貌により一層、その視線は鋭さを増している。
「まるで作り替わったみたいだったわ、不気味だし…コレ、消してみる?」
――――消してみる?
少女は淡々とそう言った。
冗談でなく、事実を言っているのであろう事が恐ろしくなる。
あれほどの力だ―――、やろうと思えば簡単に出来るのだろう。
少女の戦いを思い返す
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