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ノヴァの箱舟―The Ark of Nova―
#プロローグ『《魔王》』:2
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だったね」

 こつん、こつん、という音を立てて、階段から声の主が降りてくる。その間にも、少女の中にあったのは、困惑。

 ――――何?この人は何を言っているの?

 けれど、分かることもあった。《彼》とは、どこかで、一度会ったのだろうか。初対面とは思えない、奇妙な温かさが胸を締め付ける。

「けれどね。僕は、君のことをよく覚えているよ」

 そうして、声の主が完全に姿を現す。

 長い前髪の、真紅の髪の少年だった。目の色も髪と同じ赤。黒いロングコートに、黒いグローブ。長いズボンの色は白だ。その顔には、優しい笑顔が浮かんでいた。

「久しぶり。そして、この世界でははじめまして。メイ。僕が、《魔王(キング)》だよ」

 少女は、その口から紡がれた名前に驚愕する。だってそれは――――

「メイって……私の名前!!……どうして知ってるの?あなたは一体……誰……いいえ、《何》なの?」


 《魔王》と《姫君》の出会い――――否、《再会》だった。
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