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ノヴァの箱舟―The Ark of Nova―
#プロローグ『《魔王》』:2
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ーラとククリは、ソーサーのコクピットに続く階段を上っていく。

「姫様、行きましょう」
「え、ええ……」

 シュートに手招きされながら、階段を上る少女の胸中を占めていたのは、先ほどとは別種の驚愕だった。


 ――――あのアホ毛、危険を察知して動くのかしら……。



 ***


「システムオールグリーン」
「こっちもOKだよ」

 ソーサーのコクピットは、少女が見たことも無いほど清潔で、そして未来的だった。銀色の壁は緩く流線形を描いている。全天候型の窓が天井を蓋い、そこから外の様子が見える。そこでは、メンテナンス室の扉が開き、発射台が展開されていく過程が繰り広げられていた。そとは、これまで少女が見たことがないほどの快晴だ。

 操舵席に展開したホロウィンドウを見て、シュートとククリが口々に言う。それを聞いて、リビーラが満足そうにうなずいた。艦長席、と言うのか。そこはなぜか誰も座っておらず、その横に少女とリビーラが座る。

 リビーラはどこかで聞いたようなセリフを言い放った。

「それではしっかり掴まって!!3,2,1……」
 
 キュァァァァァ……という何かの……いや、間違いなく《重力操作機関》の駆動音が響く。そして訪れる無重力感覚。少女が、世界で五番目あたりに苦手な事象だった。

「発進!!」
「らじゃー!」
「ヤヴォール!!」

 そして、ガシャリ、とコントロールレバーが倒される。ズバァン!!という凄まじい音と衝撃が少女がを襲う。

「キャァアアアアア!?」

 たまらず叫んでしまう少女に、ククリが愉快そうに問う。

「何々?もしかしてお姫様、こーゆーのキライ?」

 そして彼女は、満々の笑顔で、世にも恐ろしいことを言った。

「大丈夫っ!この先絶対慣れてくるから!!」


 ――――それはつまり、今後もこのようなことが続く、というわけで。

「いやあぁぁぁぁぁぁ…………」


 少女の絶叫が、《箱舟》外の空を横切って行った。



 ***



 それでも数十分ほど飛行すると、何とか外の景色を見る余裕も生まれてきた。窓の向こうに見える世界は、いまだところどころ崩壊を続ける砂漠一色であった。

 三百年前のことだ。当時繁栄の極みに会った世界が、《ラグ・ナレク》と呼ばれる事象によって、一年も満たずに崩壊したのは。
 
 《教会》が《箱舟システム》を公開しなければ、恐らく人類は滅びていただろう。そこだけは《教会》に感謝である。


 そのうち、少女たちの乗ったソーサーは、一つの《箱舟》に辿り着く。以前は商業コロニーか何かだったのだろう。資源を採掘した後のあるその《箱舟》には、しかし一切の生命の営みが見られない。

 た
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