#プロローグ『《魔王》』:2
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には、痛々しい焼印の痕が何本もある。よくよく見れば、髪と包帯にに隠された右目も消失しているようだ。重罰を犯した者に与えられる、『部位没収刑』だ。
「遅かったじゃん」
「……何か、ありましたか」
赤髪の少女に続けて、もう一人の影が立ち上がる。砂色の髪を、首筋で結んだ青年だった。やはり腕には幾本もの焼印。同じく、右目は奪われているようだ。包帯が結ばれている。
「いえ何。姫様が《教皇》のリンゴを盗んだせいで追手がかかってしまいましてね?振り切るのに多少手間取りまして」
「……私のせいなの?」
青年の問いに対するリビーラの答えに、何か不憫な物を感じて、少女はしかめっ面でリビーラにコメント。しかしリビーラは涼しい顔でそれを受け流す。
「ふ〜ん」
それを、赤髪の少女が興味深そうに眺める。
「あなたがお姫様?はじめまして!!」
彼女はにっこり、と、花が咲くような笑顔を浮かべ――――次の瞬間、いつの間にやら少女の目の前に出現していた。
「!?」
「早速だけど……」
ゾクッ!!
少女は、背筋に感じた悪寒によって、身動きが取れなくなってしまった。それほどまでに、目の前の赤髪の少女から感じた《ナニカ》は強大だった。
殺される。なぜか、そう感じた。
だが、少女の直感は、結局不発に終わる。
「ククリ!!」
砂色の髪の青年が、彼女を抑止したからだ。ククリと呼ばれた赤髪の少女は、不機嫌そうに青年に振り返る。
「なによ。冗談よ、クロート」
少女は内心で胸をなでおろしながらも、戦慄をいまだ押さえられなかった。
――――何、この娘……いま、なんて言おうとしたの……?
それを考えてはいけない気がした。その先を知ってしまったら……少女は、無理やり思考を打ち切った。丁度そこを見切っていたかのように、砂色の髪の青年が頭を下げる。
「相方が失礼なまねを……。俺はクロート・シュートと申すものです。『シュート』とお呼びください、姫様」
青年――――シュートに続いて、赤髪の少女も手を振る。
「あたしはククリ・アメミヤだよ☆『ククリ』ってよんでね〜」
シュートとククリの自己紹介を、半分ほどうわの空で聞きつつ、少女がいまだ絶句していると。
「おや」
リビーラが、何かに反応する。その頭の、取りの羽根にも見える跳ねっ毛が、ぴこぴことはためいた。
「みなさん、そろそろ出発しますよ。敵さんが来てます」
その声の通り、廊下の向こうから小さく足音が聞こえてきている。雑兵の青年が斃れたことに、誰かが気が付いたのだ。
「は〜い!」
リビーラの呼びかけに、元気よく答えるククリ。リビ
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