#プロローグ『《魔王》』:2
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ろどころにマシンガンを構えた《教会》雑兵の姿が見えた。定期便のエリアは封鎖されている。ソーミティアから出ようと思ってソーサーステーションにやってきた客たちが、なにがあったのかと怒り顔で雑兵たちを問い詰めている。
「これは……」
「雑兵を撃退して逃げた犯罪者の情報がもう出回っているんでしょうね。ソーサーに密航でもされて《箱舟》の外に出られたら、もう見つけられません。だからここで封鎖しているんでしょう」
それはかなりマズイ状況なのではないか、と思う。下手をすれば捕まってしまうかもしれないのだ。そうなってしまっては、この《箱舟》から脱出するというリビーラの目的も達成できない。
「どうするの?」
「ご安心ください。こういうこともあろうかと準備はしています。こう見えても私、《教会》内ではそれなりにいいところにいるんですよ」
リビーラはにっこり、と、心底楽しそうに笑う。悪寒が走るその笑顔が、不思議と少女に「ああ、失敗はあり得ないな」という確信をもたせた。
「ご苦労様です」
リビーラは雑兵の一人に話しかける。すると、なんと雑兵は驚いたように身をすくませて、ガシャリと敬礼の姿勢をとったではないか。どうやら彼の言葉に偽りはなかったようだ。
「り、リビーラ様!!」
「急にすみません。少し遠くまで出張しなければならなくなりましてね?通していただけないでしょうか」
にっこり笑って、あくまでもフレンドリーに話しかけるリビーラ。話の内容は真実とは言い難いが、さほど「嘘である」とも言い難いものに聞こえる。話術の心得があるのだろう。リビーラの話に、雑兵が乗せられる。
「し、しかし……支部長殿から一人として通すなと……。たとえ司祭長でいらっしゃるリビーラ様といえども、通すわけには。給料も出てますしね」
しかしそこは《教会》雑兵。金の為なら働くらしい。リビーラの頼みを断る。それより少女が驚愕していたのは、雑兵の口にしたリビーラの立場。《司祭長》とは、《教会》支部の司祭たちを取りまとめる、いわば隊長の様な階級だ。一般の司祭とは待遇も位も雲泥の差がある。
それから二言三言交わしたリビーラと雑兵であったが、結局雑兵が発言を撤回することは無かったらしい。
リビーラは心底残念そうな声で、しかし、薄く嗤いながら、言う。
「そうですか……残念ですね」
直後――――プシュッ、という軽快な音が響いた。
見れば、リビーラが右手で握った奇妙な金属管が、雑兵の腹部に押し当てられていた。その中からは、奇妙な毒々しい液体が漏れ出ていた。
雑兵が胸を抑える。痛みが走っているようで、時折身を震わせる雑兵。恐らく、先ほど注射された(と思われる)あの奇妙な色の液体のせいなのだろう。少女の脳裏に、《毒殺》という
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