5 「血華葬」
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…と呑気な茶飲み話になるような程度の低い争いじゃあ終わりません。それはもう、群れと群れがぶつかり合う戦争なんです。
ふつうは群れの長同士が戦って、敗者が出ていく、あるいは死ぬかで終わるんですが、そのときは山すら殺気立って、ポポやガウシカなどおとなしいモンスターも巣穴から出てこない日々が続きました。
となると私たちの食糧、つまりお肉が底をつくのも時間の問題で。ハンターにこの闘争を強制終了させてもらうことになりました。
でもその時、たまたま港お父様が旧密林へ他のクエストをに行っていたんです。その上、ドドブランゴの3頭同時狩猟に加えて必然群れの数だけ集まったブランゴの方も倒さないといけませんから、そうなると上位ハンターは確実、下手をすればG級ハンターを呼ぶこととなるって、ハンターズギルドの方が判断したそうなんです。日々の暮らしに不自由は無いなれどもともとそれほど潤った村でもありませんから、そんな大金はすぐに用意できない、とも。
「……そして、白羽の矢が立ったのは、当たり前といえば当たり前、凪お兄様でした。村のひとたち、お兄様をタダ働きのハンターとしか考えてなかったんですきっと。お兄様は強くて、並のハンターよりもずっと強くて、でもハンター登録はしていませんでしたから、お金を払う必要もなくて……」
それでも、お兄様は笑顔でそれを受け入れました。
真砂さんが制止しても、菖蒲さんが怒鳴りつけても、お兄様はただ大丈夫とだけ言って聞く耳持ちませんでした。しまいには強引についていこうとした菖蒲さんの鳩尾を一発殴って気絶させて……。あの時はびっくりしました。そして荷物をまとめると太刀を手にして、そのまま行ってしまったんです。たった、独りで。
お兄様がどんなふうに戦って、成し遂げたのかは分かりません。けれど、とうとう10日目の朝、お兄様はボロボロになって、でも、帰ってきました……!
早朝、私と真砂さんと、菖蒲さんの3人が転がるようにお兄様を迎えました。
「疲れ切った顔で、まだ10歳の子供が、たくさん血を流して。『ただいま』って、それだけ言って倒れてしまった凪お兄様を見て私も倒れてしまって……目を覚ましたら、お兄様が傷がもとで発熱していて、菖蒲さんが看病していました。……ブランゴは、お兄様がすべて残らず殲滅していました。
翌日になってやっと熱が下がって、でも利き腕を負傷してしまっていたんです。二の腕が“折れた”、というよりのしかかられて“砕けた”に近かったみたいで、完治には骨折より時間がかかると、治療した菖蒲さんに告げられました。その傷も、下手をすれば一生腕が使い物にならなくなるくらいギリギリのもので……。そのことを聞いたとき、私はまた倒れそうになったこと、覚えています。
それから数日間、何事もない穏やかな時が過ぎました。お兄様の看
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