第七章
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くれて」
「うん」
「それでどうして怖いって」
「そうなんだね。何かそれを聞いて」
「嬉しいだろう」
親方がまた声をかけてきた。
「その言葉が」
「ええ」
赤龍はその言葉に頷く。涙こそ出なかったが感無量であった。
「横綱」
「何だい?」
美香子の言葉に顔を向ける。
「これからも応援していいですか?」
彼女はこう問うてきた。
「これからも横綱を。それでいつも見ていいですよね」
「うん、いいよ」
彼は温かい言葉で答えた。普段の気迫はそのまま優しい心になっていた。
「これからもね。宜しく」
「はい」
美香子は明るい笑顔で答えてきた。それでもう充分であった。
「横綱、これからも」
「うん、宜しくね」
二人は優しい笑みを浮かべ合った。赤龍の不安は大きな杞憂であった。だがそれは大きな喜びへと変わった。そうした出会いであった。
素顔 完
2007・1・2
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