第六十四話
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が出そうになったものの、手を出そうとしたら胸を見せなければならないというジレンマ。アバターだから、あたしの身体ではないわけだけど、そういうのは気持ちの問題である。
「……バカ!」
「いや、ちょっ……」
「……変態!」
「…………」
髪の毛を掻いて苦笑いをするショウキに――ショウキが困っている時のサインだ――さっきのウンディーネ以上にキツい連撃を叩き込む。それは金属製の重い武器ではなく、ただのあたしの言葉だったけれど、ショウキにはメイス以上に痛い攻撃のようで。ブツブツと攻撃を続けるあたしに、後ろから皮で出来た服が投げられた……シルフの初期装備だったような。
「悪かったって……これは、その、男としては仕方ないんだ」
むしろ開き直ったかのようなショウキにジト目を向けながら、ありがたくシルフの初期装備を羽織っておく。そして一発小突くと、他の場所を不自然に見つめていたショウキはバランスを崩し、カヤックの後ろから落ちそうになったものの、何とか無事にカヤックに留まった。……流石のバランス感覚。
「……ちぇっ」
「機嫌直してくれよ……」
器用にも、掴まるところのないカヤックの後方で座りつつ、ショウキは苦笑いでこちらを見て来る。あたしが服を羽織ったおかげで、こちらを見れるようになったらしい。やはり困ったように苦笑いするショウキに対し、あたしは眉をひそめてアヒル口になりながら、その苦笑いを眺める。
「……明日、アスナの病院一緒に行く。それで許してあげる」
SAO事件が攻略組のおかげで75層時点で終わったとしても、一部のプレイヤーたちは目覚めていないらしい……未だにアインクラッドから帰って来ていないかのように。アスナもその一人であるらしく、親友がどのような状態なのか……あたしは知っておきたい。
……今まで、逃げていたけれど。
「……ああ、分かったよ」
「えーっと……何の話か良く分かんないけどさ」
ショウキがシリアスな口調で頷いた後、あたしが前を向けと脅したせいで蚊帳の外だったレコンが、おずおずと話に入ってくる。……少し、レコンには悪いことをしたかも知れない。
「そろそろ次の中立の町だから、一旦そこでログアウトしない? もう入りっぱなしだし……」
確かに言われてみれば、午後からずっとこのゲームをやりっぱなしだった……もう夜だというのに。ログアウト出来なかったSAOのせいで、そこらへんの感覚が少し……いや、かなり鈍っているらしい。
「一回、リアルで調べてみたいことがあるんだ。だから、二人も晩御飯にしてよ」
「そうさせてもらうかな……」
ショウキの言う通り、やはりこんな何時間もゲームをしているとお腹が空く。急いでいるのは確かだけれど、少し休ませ
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