第六十四話
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現れていた。……その人を、姿が変わっていても見違えることは絶対にない。
「ありがと、ショウキ」
「………………!?」
ショウキも何か言おうとしていたようだったが、ショウキには水中で行動出来る支援魔法はかかっておらず。むしろ平気で水中の中で喋っているあたしを見て、驚いて口を開いてしまいそうだった。そのまま驚いているショウキを二人で、あたしが元々乗っていたカヤックまで連れて行くと、無理やり三人で一つのカヤックに乗った。そもそも一人乗りようだけれど、詰めればまあ何とかなったり。
「あー服ビショビショ……それより。遅かったじゃない、ショウキ」
カヤックの席に座ることが出来たあたしは、ニヤニヤと笑いながら、カヤックの後方に座っているショウキに語りかける。最後はやはり助けられてしまったけれど、ショウキが遅刻して来たのは事実なので、この程度の軽口は許されるだろう。
「悪い悪い。あー……それより……なんだ」
「ん?」
どうにもショウキの歯切れが悪い。敵にやられて溺れかけてたんだから、そうなるのも当然なんだけど……なんだろう、そういう歯切れの悪さとは違った。チラチラとあたしの方を見つつ、照れたような顔をしつつあたしと視線を合わせようとしない。
気になって、ショウキの視線を追ってみると。あたしの服、特に胸の部分へと到達し……
「――――キャァァァッ!?」
……あたしの服が、水に濡れて透けていることに気づく。レコンとショウキは上着があって大丈夫だったようだけれど、あたしの服は白いエプロンドレスなわけなので、白い部分が水で肌に纏わりついて透けている。
アインクラッドの時にアスナがコーディネートして、ここ、アルヴヘイムでショウキがそれっぽいのを買ってきた、この服で白いところというと。まずは手袋、これは別に問題ない。それとエプロン、外せば問題ない。最後に胸部がまるまる全て白い。
――そこは問題しかない!
「リ、リズちゃん? 急に悲鳴上げてどうしたの?」
「前を向く! 後ろを見ない!」
「はいっ!」
カヤックの前に座っているレコンの耳元で叫び、二次被害をこれ以上増やさないことに成功する。だけど、後ろに座ってた奴には見られていてたわけで。それもじっくりと。
「ちょっ、えっ、あああああああんた」
動揺で何を言っているか良く分からなくなってきた。あたしからは見ることが出来ないけれど、きっと顔を真っ赤にしているに違いない。ショウキは、目をそらしながら頬を掻くと、まさかの決め台詞を吐いた。
「あー……えっと。ナイスな展開じゃ……」
「ないわよ!」
エプロンドレスの胸部を両手で押さえつつ、不自然にどこかを見ているショウキへと背中を向ける。ついつい手
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