第六十四話
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するだけならば、動かなくても充分だ。
……ショウキが言うには、こういう時のあたしは凄く楽しそうに笑っているそうだが、残念ながらあまり否定は出来ない。
「ええいっ!」
トドメに一撃顔面にメイスを叩き込むと、そのウンディーネは吹き飛んでそのまま、水色のリメインライトとなり果てた。その顔に、最後まで疑問の表情を残したままで。
あたしが水中で動ける理由とタネは、そんなに疑問に思うほどの物ではなく、ただのレコンの支援魔法に過ぎない。サポートと毒殺に特化した彼のビルドには、水中で行動出来るようになる程度の支援魔法は、慌てる必要もなく最初から持ち合わせていた。……けれど、あくまで行動出来るようになる程度であり、正面からウンディーネに勝つには焼け石に水だった。
……そこで少し小芝居をしてみた。水中で行動出来る魔法などないと、わざと大声で言うことで、メイスを叩き込める位置までおびき寄せる。……まさか、ここまで上手く行くとは、思っていなかったけれど。
「やったね、リズちゃん!」
先程は不発となった解呪魔法で、あたしと自身の水の足枷を――やはりウンディーネの魔法による物だったようだ――解除しながら、レコンがあたしの方へと泳いで来る。……だから、ちゃん付けしないでったら、と言おうとしたけれど、まあ、今回だけは良いだろう。
ところで、レコンが相手をしていた、もう一人のウンディーネはどうしたのだろう……と思えば、全身動けないように麻痺毒をかけられて、死んだように水底に眠って……いや、眠らされていた。むしろリメインライトになった方が良かっただろう結末に、敵とはいえ同情せざるを得なかった。
「あんた、アレはやりすぎじゃないの……?」
……メイスで必要以上にボコボコにした、あたしが言えることじゃないかも知れないけど。レコンもそう思ったのか、あたしの台詞に苦笑して返す。
「あ、あはは……――リズちゃん後ろ!」
――レコンの台詞に反応して反射的に背後を向くと、そこにはあたしがさっき倒したはずのウンディーネの姿。ウンディーネが得意とするのは、水中での行動と回復魔法……どうやっては分からないけど、リメインライトの姿から回復して来ているのだ。
そして、あたしに復讐せんと血走った目で短剣を持ち、先程のような『遊び』もなく、一直線にあたしへと向かってくる。逃げられない……あたしの反応が間に合わない。
……しかしあたしは恐怖することはなく。そのウンディーネの胸から突き出ている、美しい銀色の刀身だけを見ていた。リメインライトから復活してHPが残り少なかったのか、その銀色の刀身の一撃により、再びリメインライトとなり果てた。
もう一度ウンディーネが復活する様子はなく、代わりにその場には、黒い服のシルフが
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