第54話 セーブはこまめにしておこう
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源外の工房から命かながら逃げ延びてきた銀時達万事屋ご一行は、結局元の鞘に納まったかの如く自宅に辿り着いていた。ボディのない生首状態のからくり家政婦を机の上に置き、揃って意気消沈している四人。
まぁ、その原因は自分達にあるのだから仕方がないと言えば仕方がないのだが―――
「やれやれ、折角金なるかと思ったのに、これじゃまるで殺人者の気分だぜ」
笑えもしないジョークを交えながら銀時は目の前に置かれているからくり家政婦の頭部を見つめていた。幾ら人気のからくり家政婦と言えども頭だけでは売り物にならない。それに、新八の夢も実現出来ない。結局神楽の自称卵割り機にしか使えない代物になってしまった。
「結局ただのゴミか……苦労したのに損した気分だなぁ」
「でも、源外さんから聞いた話だと、このからくりは家事手伝い能力よりも事務処理能力に特化したからくりらしいですよ。だから、前の持ち主も専らコンピューターとして用いていたみたいですからもしかしたらこれだけでも使い物にはなるんじゃないんですか?」
新八は源外から聞かされた説明を要点だけ掻い摘んでだが覚えていた。このからくりは内部構造的に家事手伝いには向かないが、その代わりに事務処理などのデスクワークに特化した作りになっているそうだ。そうとなれば別の用途でならもしかしたら結構な値がつくかも知れない。
「冗談じゃないネ! これは私の卵割り機アルよ!」
「まだ其処にこだわってんのかよてめぇは……ま、それよりもだ―――」
無造作にからくりの頭部を持ち上げて銀時は眺めた。
このからくり、どうやったら起動するんだ?
さっきから色々と試しているのだが一向に起動する兆しが見られない。これではただの木偶の棒同然だ。
「何処かに起動スイッチとかないのかなぁ?」
そう言ってなのはがからくりの頭部のあちこちを見ながら触って確かめていた。頭皮の裏側とか口元とか、鼻とか、とにかくあちこち触れていた。
が、一向に目覚めない。どうしたものか。
「ったく、これだったらゴミ捨て場にそのままにしてても良かったんじゃねぇのか? これじゃ邪魔でしょうがねぇぜ。明日の燃えないゴミの日にでも出しちまうか?」
「駄目ネ! これは私の卵割り機として未来永劫使用し続けるネ! これは定められた運命アル!」
「そんな運命要らんわ!」
口うるさい神楽の講義を跳ね除けるかの様に銀時は手を払う。何時までも神楽の愚痴を聞いていられないからだ。
自分の特徴でもある銀髪の天然パーマを右手で乱暴に掻き毟りながら眠たそうな目で再度からくりを見た。一見するとそれなりに顔の整った女性の顔だ。細く楕円を描いた顎にキリッと整っている顔のパーツ。見るからに美形とはこの事だと思わせた。
こいつが喋ったらどんな感じ
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