第7話:新メンバーを選抜せよー1
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もあるから、午前中には模擬戦が完了するように頼む」
チンクは言いたいことを短い言葉で言い終えると、
椅子の背に身を預けて目を閉じる。
「あー、そうでしたね。了解です」
クリーグはチンクの言葉に納得顔で頷くが、
チンクの短い言葉だけでは納得できないものがいた。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。
午後に別の予定があるって僕は聞いてませんけど、何があるんですか?」
慌てた様子でフォッケがそんな声をあげると、ゲオルグがきょとんとした顔で
フォッケの方を見る。
「ん? フォッケには話してなかったっけか?」
「聞いてませんって」
非難めいた口調で言うフォッケに対し、ゲオルグは苦笑しながら頭を掻いた。
「悪い悪い。 その日の午後には新しい分隊長候補の能力確認をやる予定なんだ。
で、フォックスとファルコンの連中を借りるからクリーグとウェゲナーには
話をしてたんだけど、お前に話すのを忘れてたよ」
「・・・ま、いいんですけどね」
ゲオルグの弁解にも似た言葉を受けて、フォッケは不服そうな表情を
浮かべながらも納得して頷いた。
「副官は大事にしろ」
「言われなくてもわかってるよ」
チンクが横目でゲオルグの方を見ながら呆れの混じった口調でそう言うと、
ゲオルグは肩をすくめてそれに答えた。
「・・・おい、ゲオルグ!」
「ん? ああ、なんだ?」
回想に耽っていたゲオルグの意識をチンクが肘でゲオルグの横っ腹をつつくことで
現実へと引き戻す。
我に返ったゲオルグがチンクの方に顔を向けると、チンクは不機嫌な表情を
浮かべていた。
「ぼっとしてないで、早く行くぞ。 もう始まるからな」
「ああ」
ゲオルグはチンクの言葉に頷くと、クリーグとウェゲナーに率いられて
訓練スペースに向かう候補者たちの列を一瞥してから隊舎に向かって歩き出す。
隊舎に入り、ゲオルグ・チンク・フォッケをはじめとする一行は
候補者たちの模擬戦闘を観戦する場所である指揮所に向かう。
その道すがら、フォッケがいつものようにゲオルグの半歩後を歩きながら
ゲオルグに話しかける。
「部隊長。 今さらこんなことを言うのもアレですけど、
本当に指揮所からの観戦でよろしいのですか?
遠目でも直接見られたほうがよかったのではないですか?」
「フォッケはなんでそう思うんだ?」
ゲオルグがちらっと振り返ってフォッケに尋ね返すと、
フォッケは驚いたようでその両目を何度か瞬かせた。
「えっと・・・・・現場にいなければ感じられない空気感とか、
雰囲気とかそういうものを感じ取るのも必要だと思ったんですが」
ゲオルグの方を伺うように見な
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