第7話:新メンバーを選抜せよー1
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取ったフォッケは1枚ずつ丹念に読み始める。
何枚かをめくったところで、フォッケの隣に座るウェゲナーが声をあげる。
「おい、フォッケ。 読み終わったやつは俺に回せよ」
「あ、はい。 すいません、気がつかなくて」
フォッケはウェゲナーに向かってぺこっと頭を下げると
自分が読み終えた数枚をウェゲナーに手渡した。
受け取ったウェゲナーはフォッケよりも読むペースが速いようで、
自分が読み終わったものを次々にクリーグに渡していく。
そうして無言の時間が10分ほど過ぎ、その場にいる全員が
すべての候補者のプロフィールを確認し終えると、手元に戻ってきた紙の束を
トントンと整えるゲオルグに目線が集まる。
ゲオルグはリストをクリップで留めると机の上にパサッと置いて全員の顔を見回す。
「全員読んだな。 じゃあ本題の協議に入るか。
この20人の候補者から採用する10人を決定するわけだが、
どうやって選定するかだ。
選考ポイントとしては、魔導師としての能力・作戦における判断力だな。
あと、下士官クラスについては統率力も必要だ。
ポジションのバランスなんかも考えないといけないが、これらを見るのに
どのような選考方法が最適だろうか?」
ゲオルグが話し終えるとチンクが自分の端末を開く。
普段はフォッケがやっている書記の役割をチンクが代行するためである。
ただ、事前に知らされていなかったフォッケは自分の端末を開きかけて
それに気づきおやっという表情でチンクを見た。
「書記は僕がやりますよ?」
おずおずとフォッケが言うと、チンクは仏頂面で首を横に振った。
「いいからお前は議題について考えていろ」
「あ、はい。 ありがとうございます」
フォッケが言った感謝の言葉に対して、チンクはふんと鼻を鳴らして応じる。
だが、チンクの隣に座っていたゲオルグはチンクの頬がわずかに赤く
染まっているのを見逃さなかった。
(くくっ・・・照れてやんの・・・)
小さな笑いがゲオルグの口から漏れる。
しかし、すぐそばにいるチンクの耳には届いたようで、先ほどよりも少し赤みを
強くした顔でゲオルグを軽くにらみつけると、その小さな足を思い切り
ゲオルグの足の上に振り下ろす。
「痛っってっ!!」
足の甲をチンクの履く靴のかかとで踏み抜かれ、ゲオルグは思わず声を上げる。
その声に分隊員の選考方法を考えていた3人はギョッとした顔を向ける。
「・・・どうかされましたか?」
フォッケが恐る恐るといった体で尋ねると、ゲオルグは引きつった笑顔で応える。
「いや・・・なんでもない。 気にせず続けてくれ」
ゲオルグの言葉に腑に落ちないものを感じながらも、フォッケは自分の思考に
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