第六十話 ハロウィンの前にその十
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「どうもな」
「じゃあそっちはどうなんだよ」
「こっちは絶好調だぜ」
にかっと笑って白い歯を見せての返答だ。
「もうな」
「そこでそう言うんだな」
「阪神と同じくな」
「それはいいね、それでそっちはこれから何するんだい?」
「猛虎ライブだよ、聞いただろ」
「ああ、まあな」
「日本一になったらな」
まさにその時にだというのだ。
「学園のど真ん中で盛大にやるからな」
「歌う曲は六甲おろしとだよな」
「阪神の歌なら何でもだよ」
それこそだというのだ。
「歌ってやるからな」
「それいいな」
「そっちも文化祭で歌っただろ」
彼は美優に笑顔で返した。
「阪神な」
「まあな、それでそっちもかよ」
「ああ、歌うさ」
阪神の歌をだ、日本一になれば。
「こっちの部長さんが乗り気なんだよ」
「そっちの部長さんも弾けてるからな」
「そっちに負けない位にな」
「だよな、うちの部長さんもな」
美優は頭の中に自分達の部長の顔を思い浮かべながら話す。その顔はいつもの明るく邪気のない感じの笑顔だ。
「ああいう人だからな」
「こっちも弾けててアイディアマンでな」
「それがいい方向に行く様に根回しもしっかりしてるからな」
「それで俺達には責任は自分持ちだからガンガンやれって言ってくれてな」
「頼りになるよな」
「顔は地味だけれどな、うちの部長」
彼は笑ってこうも言った。
「頼りになるぜ」
「そういう人がトップだといいよな」
「部活も楽しいよ」
そうなる、部活は部長が大事だ。勿論顧問もだがどちらの軽音楽部も顧問については困った先生はいないのでこちらは言うまでもない。
「そうなるよ」
「あたし達もそうしないとね」
自分達が二年になった時にだと、美優は今はこのことを憂いのない言葉で言えた。あの時とは違って。
「お互いの部長さんみたいにね」
「当たり前だろ、出来るさ」
これが彼の返答だ、そのことに対する。
「絶対にな」
「おいおい、強気だな」
「なろうと思えばな」
そうしてだというのだ。
「なれるんだよ」
「そう言うんだな」
「逆に言えばなれないと思ったらな」
「なれないんだな」
「ああ、そうだよ」
そういうものだというのだ。
「何でもな」
「為せば成るか」
「為させば成らずってな」
つまりまずそう思うことが大事だというのだ、絶対に出来ると思うことが。
「自信がないと出来ないだろ」
「それはその通りだね」
「阪神だって優勝出来たんだぜ」
とかく優勝することが少ないこのチームでもだというのだ。
「だからな」
「あたし達もなんだな」
「ああ、出来るさ」
今のそれぞれの部長達の様にだというのだ。
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