暁 〜小説投稿サイト〜
覇王と修羅王
自称王と他称王
九話
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アレクさんに訊きたい事があるんです。だから切らないでくださーい!」

 はて、何か訊きたがる事でもしただろうか。アレクはヴィヴィオの興味を引きそうな事を頭に思い浮かべていくが、どれも当たってそうな外れのようなで特定出来なかった。
 だが、アレクはアインハルトとの事で、面倒臭がると余計に面倒臭くなると学んだので、渋々遮断ボタンから指を放す。

「……なんぞ?」
『あのアレクさんって、諸王時代の王様の子孫なんですよね。確か、アレディ・ナアシュって人の』
「ファッ!?」
『にゃっ!?』

 ヴィヴィオは突然奇声を上げたアレクに驚き、鳴き声を上げた。
 だが、アレクにとってはどうでもいい。
 今し方王の事が片付いた所で、また王の事。面倒な事が片付いたと思ったら、また面倒そうな事。しかも、アインハルトと同じく直球。アレクの脳内では王関連と面倒がイコールで結ばれているので、頭がどうにかなりそうだった。

「な、な、ななななん、何の事かな? しし、知らないなぁ。おおぉ俺一般市民だし?」
『え〜と、凄い動揺なのでヴィヴィオには逆に怪しく見えると言いますか、必死に誤魔化してるようにしか見えないと言いますか……』
「はっ、謀ったな!? なんという策士……さては悪魔かお前!?」
『あ、悪魔!? ち、違います! 全部アレクさんの自爆ですよぉ!』

 超必死なヴィヴィオの声は、畏れ慄くアレクに届かない。一歩一歩後ずさって行く。
 ただ、アレクは通信端末を持ったままなので、距離は一向に変わらない。壁まで行き着くと、観念したように尻餅をついた。

「な、何が望みだ? か、金は無いぞ。い……命か!?」
『だ、だからぁ! わたしは悪魔じゃないですよっ!! ただ訊きたい事があるだけ、なんですよぅ……』

 ヴィヴィオは声を張り上げるが、パニックを起こしたアレクはガタガタと本気で震えるだけなので、次第に勢いが無くなっていく。流石に震えての悪魔呼ばわりは効いたらしい。
 そして本気で落ち込み始めたので、今度はアレクが慌て始めた。ヴィヴィオは周りから可愛がられているので、何かしでかしたら姐鬼の鉄拳が降ってくる。

「いやちょっと待て泣くの無し、泣くのは無し! 悪かった、俺が悪かった、気が動揺動転大回転してた。もう冷静だ。今の俺にはちゃんと見えるしちゃんと聞ける」
『……ほんとですか?』
「本当だ、パーフェクトだ。君は可愛い可愛い天使さん、二つのお下げが羽のようだ。ほら、ちゃんと見えている。何も問題無い」
『えへへ、ありがとうございます』
「どうにか致しまして」

 どうにかヴィヴィオの機嫌が回復したので、アレクは成し遂げた笑みを漏らす。
 ただ、頭に浮かんだ言葉を片っ端から述べていたので何言ったか覚えてないが。なんにせよ、鉄拳制裁
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