暁 〜小説投稿サイト〜
覇王と修羅王
自称王と他称王
九話
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子は、この年で子供を作る気か。覇王の直系だから血を絶やさないようにとの事かもしれないが、色々と早すぎる。
 だが、今の法関係ではアレクよりアインハルトの方が疎く、覇王の事を天秤に掛ければ、傾く方など予想は容易い。でなければストリートファイトなど毎晩やるものか。
 とりあえず、アレクを抑えてもアインハルトがカモン状態では話にならない。幸い根は真面目であるから、根掘り葉彫り訊けば全容を曝してくれよう。
 もうティアナの中で、アインハルトもアレク同格の問題児に昇格認定されていた。

「とりあえず、今日の所はうちで引き取るわ」
「うん、そうしよ」
「それがいいな」
「スバル、ノーヴェ、荷物持ってくれる?」
「おっけー」
「おう、任せろ」

 呆けているアレク以外から即賛同を頂いたティアナは、涙目で額を押さえているアインハルトに向き直る。

「さあ行くわよ、アインハルト」
「え、あの……」

 何か不味い事を言っただろうか、と事態を把握しきれてないアインハルトは困惑しながらも連れて往かれる。ただ、腕を掴むティアナの雰囲気が猛禽類のようでかなり怖い。連れて行かれたら、戻って来れなさそうな気配すらある。

「アレク、早急に対処しないといけない事が出来たから失礼するわ」
「へい、事件が早期解決して飛び火が無い事を願ってやす」
「アレク、ご飯まだだったら冷蔵庫の作り置き、温めて食べてね」
「へい、未だレンジの使い方が八割方不明ですが頑張って頂きやす」
「アレク、明日また来ると思うから……たぶん大人しくしといた方が良いと思う」
「へい、自殺願望は無いんで大人しくしてやす」

 アレクは慌ただしく席を立って行く面々を敬礼付きで見送る。
 そして、猛禽類に掴まった哀れな子猫と目が合うと、未だ嘗て無い優しい視線と共にエールを送る。

「さようなら、君の事は忘れない。僕がずっと、憶えていてあげるから……」
「そ、それはどういう意味で――」

 パタン。物静かだが、心に残るドアの音。
 バタン。重々しく閉ざされた、外を隔てるドアの音。
 ガチャン! 南京錠でも掛けられたような、終末の鍵の音。
 ピーピー! そして、何故か鳴り始める通信端末。
 ご同類誕生の瞬間に立ち合えて感無量なアレクだったが、鳴り出した端末により気持ちが吹き飛ばされた。
 取り出した通信端末に表示された名前は高町ヴィヴィオ。
 昼間に取次した囚人子猫……ではなくアインハルトの現状でも訊きたいのだろうか。ならば他に訊けばいいのに、と思いつつ通信を受ける。

『こんばんわ、アレクさん! ヴィヴィオです!』
「へい、こんばんわ。試合の事なら他を当たるといいよ。んじゃ、さようならでお休みなされ」
『あっ、待って下さい! 試合の事じゃありません。
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