自称王と他称王
九話
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に二言無し、と。
うがががが、と顎をガクガク奇怪に揺らすアレクをティアナは視界から外し、アインハルトの方を向く。
「アインハルトは家事とかできる?」
「料理は極簡単な物しか作れませんが、他は一応……」
「なるほど」
これは丁度いいかもしれない、とティアナは頷いた。
アインハルトは勉強も出来るので、アレクの勉強を見る事も期待できる。アインハルトは家事が出来ると言うので、洗濯しか出来ないアレクを補う事が出来る。もうアレクから修羅王のフィルターが外れているので、襲い掛かる事は無いだろう。
問題はアレクの自制が効くかという所だが、そこは法を出せば抑えられる。叔父が警防署勤めな事が関係しているのか、アレクは割と法に知識がある。なので手を出したらどうなるかは、法を踏まえ如何に不味いかと伝えればどうにかなる。ついでに我慢も覚えさせることもできる。
ただまあ、二人足して二で割ったら丁度良いとか、一箇所に留めて置いた方が楽とかの考えもあるが。
そんなティアナの考えを余所に、ノーヴェとスバルが口を開く。
「なあアインハルト、あたしの家に来てもいいんだぞ?」
「そうだね、ちょうどあたしの部屋が空いてるし。それかあたしのとこでもいいよ。ね、ティア?」
「……そうね」
ナカジマ家は大人数いるので、どんな時でも誰かしらアインハルトに構う事は出来るだろう。ただ騒がしいウェンディがどんな影響を与えるか少し心配であるが、居候先としては理想的だろう。
だが、アレクが一人に成る。そして、勉強や家事とは別に一つの疑惑があるので、ティアナには賛同しきれない。此処に一人、お目付け役が欲しかった。
ただ当のアインハルトはどうなのか。先ずはどうしたいか訊いてから、と考えを一端保留した。
「アインハルトはどうしたいの?」
「皆さんのお誘いは有り難いのですが……此処に置いていただければ、と。その、世継ぎの事もありますので……」
「そう、じゃあ仕方な……い?」
申し訳なさそうに頭を下げるアインハルトにティアナは頷きかけたが、どうにも聞き逃せない単語が耳に入った。
聞き間違いだろうか。スバルとノーヴェを見ると、驚きと動揺が浮かんでいる。アレクはポカーンと間抜け面をしているが、幸いにも事態を理解しているようだ、勉強させた甲斐があった。
まあなんにせよ、耳にした単語は間違いでは無いということだ。
「アインハルト、世継ぎって、どういう事、なのかしら?」
「あの、世継ぎとは子供を作る事で……この場合、アレクさんの子種を私が受けて……」
「違う、そういう事を訊いてるんじゃない!」
「っ!?」
質問を取り違えて顔を真っ赤にして明後日の事を語り出すアインハルトに、ティアナはデコピンを飛ばす。
何を考えているんだこの
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