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覇王と修羅王
自称王と他称王
九話
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るほどね」

 アレクに呼び出されたティアナは、アインハルトが居る理由を聞き終わると重い呟きを漏らした。共にきたスバルとノーヴェも良い顔をしてなかった。

 アインハルトは対戦中の発言に従い来た、だけだったらまだ良かった。問題は身元整理をある程度済ませてしまっている、という事だ。
 元々真面目な性格の上、王の記憶を持つアインハルトは発言に対する責任感を知っていた。なので、単に家出ではなく、家族に公認された出家で此処に居るのだ。
 真面目なのは好ましいが、行き過ぎれば問題である。少しはアレクを見習う……のは危険だから僅か程度で参考にしてほしい。
 とりあえず、アインハルトは家に帰すべきだろう。と考えていると、一緒に来たスバルが口を開いた。

「お父さんとお母さんは何も言わなかったの?」
「彼等にとって、覇王の資質を持つ私は恐怖の対象でもありましたから……」

 ふと、以前チームを組んでいた少女が浮かぶ。彼女は真竜と契約した事により一族を追放された。
 過去を耳にした時は彼女の事にしか目が行かなかったが、産んだ者は果たしてどのような心境だったのか。想像でしか出来ないが、あまり良い感情が出てこない。
 祖先たる王の記憶を持つ子を産んだ者はどうだろうか。アインハルトも両親を彼等と称した事から、一般家庭の印象が浮かばない。冷遇こそ無いようだが、このまま帰していいものか。

 修羅王の子孫であるアレクはどう思ったかとティアナは視線を横に向ける……が、全く関係無い他人事にようにして聞いてやがった!

「アレク」
「なんすか?」
「勉強の復習よ」
「へいぃっ!?」

 頭をガッチリ掴まれ横に向けられたアレクは、眼前のティアナの冷視線にスパルタ勉強会を思い出し、冷汗が出始めた。
 ティアナが勉強の復習という言葉を出すと、唐突に所構わず問題を突き付けられる。それは問題集と睨めっこしてる時でも変わらない。

「ベルカ戦争時代、勝敗の決した後に敗者が投降した場合、勝者は敗者に対し多数の扱い方を得ます。その内容を答えなさい」
「えーと、戦時中は敗者に人権無しだったから……処刑とか、人質とか、他国との交渉材料とか、奴隷とか?」
「では、ベルカ戦争時代で例えた場合、勝敗のついたアレクとアインハルトの、い・ま・の! 状態を答えなさい」
「えーと、えーと……アインハルトの奴隷化カウントダウン?」
「不正解。まだアインハルトの身の振りが決まってない。アレクに投降して判決を待っている状態。アインハルトの今後を左右しかねない所なのよ。だから他人事のように聞くな! それと強調したのに引っ掛けに引っ掛かるな!」
「すんませんしたっ!」

 敬礼したアレクにティアナは頷くと、何事も無かったように前を向かせた。
 ここでもやるか、とノーヴ
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