変わらず笑っていられる事を祈って
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と漢を主張する事は変わらず。
エルフマンの、背後に『漢』という文字が見えそうなほどの勢いにアランは一瞬びくっと体を震わせたが、すぐにその目は真剣な光を宿す。
「なら・・・これでどうでしょう!悪魔殲滅光!」
「!」
エルフマンに向けた両掌から、黒のような紫のような光が放たれる。
その眩しさにエルフマンは右腕で目元を覆った。
そしてその一瞬を、アランは見逃さない。
「もらったああああああっ!」
右拳に悪魔殲滅光を纏い、エルフマンのガード無しの腹に叩き込もうと拳を振るう、が―――
「!?」
「不意打ちか。漢なら・・・」
がしっ、と。
その右手首をエルフマンが掴んだ。
目を見開くアランにエルフマンは口を開き――――
「正々堂々きやがれえええええっ!」
「うあああああっ!」
思いっきりアランを放り投げた。
防御の構えを取ったアランだが、やはり地面に叩きつけられた時のダメージは大きいようで、数秒の間起き上がろうにも上手く体が動かない。
「そこまでだ。勝者エルフマン」
「漢オオオッ!」
そんなアランの状態を確認したフリード(暇そうだったから審判を頼んでいた)が止める。
「いたた・・・」
「すまねぇアラン、大丈夫か?」
「大丈夫です・・・気にしないでください、本気で相手をしてほしいって言ったのは僕ですから」
表情を歪めながら立ち上がるアランにエルフマンが申し訳なさそうに声を掛ける。
が、アランは特に気にした様子はなく、薄い笑みを浮かべた。
「それにしても、近距離で拳を振るう魔法っていうのが共通してるからってエルフマンに鍛えてほしいって・・・」
「それならエルフマンさんじゃなくても、連合軍で一緒に戦ったナツさんとかがいますよね?」
そう、ジュビアのいう通りだ。
アランは今日ギルドに顔を出すなり、エルフマンに鍛えてほしいと申し出たのだ。
その時、頼まれたエルフマン本人を含め、その場にいた全員が目を見開いた。
確かにエルフマンは強いが、格闘術系の魔法を使うアランが鍛えてほしいと言うなら、炎を拳や足に纏って殴ったり蹴ったりするナツや、魔法の力を借りずとも鋭い蹴りを放つティア、元々素手で戦うのに慣れていそうなガジルといった適切な人間は多い。
アランの使用魔法から考えると、エルフマンに申し出るより“炎を纏って格闘術を使う”ナツに鍛えてもらった方がいいんじゃないか、と全員が思っていた。
「・・・確かに、頼めるならナツさんに鍛えてほしいなとも思いましたけど・・・」
勿論、エルフマンに鍛えてもらうよりナツに鍛えてもらう方が自分の魔法に合っている事は、アランも気づいていた。
だが、どうしても頼めなかったのだ。
「ナツさんにはティアさんの件があるから・・・」
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