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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百十一話 解放の時
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いう風に持って行ったのは俺だ。俺がボルテックを殺したと言って良いだろう。否定はしないしするつもりもない。ボルテックは邪魔なのだ。奴は自分がフェザーン市民から信頼されていない事を理解していた筈だ。
貴族連合軍を押さえる事が出来ずフェザーン市民の安全を守れなかった。そして同盟軍を呼び寄せるために膨大な資産を同盟に譲渡した。ボルテックにとってはどうにもならない事ではある。だがフェザーン市民にとってボルテックの行動は裏切り行為でしかない。彼が生きていればフェザーン市民は彼の死を望むはずだ。
ボルテックが生き残るためには同盟を頼るしかない。同盟の力を背景にフェザーンを統治する。傀儡になるか、実力ある支配者になるかは分からない。しかし生き残るにはそれしか方法は無い。そして同盟にとってボルテックを受け入れる事にメリットは無い。少なくとも俺には見つけられない。
ボルテックを受け入れればフェザーン市民はボルテックの後ろ盾となった同盟を恨む。そして帝国も同盟はフェザーンの間接支配を目論んでいると不審を抱くに違いない。何よりも同盟の政治家達の中にはフェザーンから金を受け取った人間が居るはずだ。そいつらに対して妙な影響力を振るいかねない。極めて厄介な存在になる。
ボルテックを見殺しにしても結果が良くなるとは思えない。毟るだけ毟って見殺しにした、同盟は信用できない、フェザーン市民からはそう非難されるだろう。事実だから否定も出来ない。しかし亡命を認めればボルテックを匿ったとフェザーン市民に恨まれる。ボルテックは存在自体が不安定要因なのだ。
どうにもならん、だから死んでもらう。そしてフェザーンの独立を保証する。それがボルテックと同盟政府との間で結ばれた約束だとフェザーン市民に伝えるのだ。ボルテックは不運であり無力であったかもしれない。しかし最後までフェザーンの行末を案じていた。その独立を守るために尽力していた。ボルテックは帝国貴族に殺されたが同盟はその約束を守る。
フェザーン人の恨みは貴族連合軍に留まりボルテックに向かうことは無いだろう。そして同盟は貴族連合軍を打ち破りボルテックとの約束を守る事でフェザーン人から恨まれることは無い。これがベストだ。同盟内部にはフェザーンの実効支配を望む人間が居るかもしれない。しかしフェザーンは独立させ帝国との緩衝地帯として利用したほうが得策だ。帝国も安心する。
レベロは不満そうだったな、ボルテックが哀れだとでも思ったのだろう。国債や株の譲渡でカウンターパートナーだったから情が移ったのかもしれない。人間としては悪くないが政治家としては聊か冷徹さが足りない。トリューニヒトやホアンは醒めた表情をしていたぞ。あの二人はボルテックの死に何の痛痒も感じていなかった。いや死ぬのが当然だと思っていたのかもしれない。
トリュ
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