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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百十一話 解放の時
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『全軍に通信を』
ヴァレンシュタインの言葉に艦橋が静まり返った。
『第一命令、殲滅せよ。第二命令、殲滅せよ。第三命令、殲滅せよ。フェザーンを門閥貴族終焉の地とせよ』
『……』
声が出ない。皆固まっている。平静な口調とは裏腹な過激な内容に付いていけずにいる。
『復唱します! 第一命令、殲滅せよ! 第二命令、殲滅せよ! 第三命令、殲滅せよ! フェザーンを門閥貴族終焉の地とせよ!』
若い女性士官が叫ぶ様に復唱した。蒼白になりながら叫んでいる。先ほどヴァレンシュタインにボルテックの死を伝えた士官だ。皆が口々に“殲滅だ”、“叩き潰せ”と叫びながら弾かれた様に動き出した、フェザーンを門閥貴族終焉の地とするために……。
宇宙歴 796年 1月 6日 第一特設艦隊旗艦 ハトホル エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
戦況は圧倒的に同盟軍が有利だ。貴族連合軍の艦隊は同盟軍に包囲され殲滅されつつある。もう残っているのは八万隻程だ、半分以上撃破した。元々寄せ集めの集団だ、組織的、効果的な反撃は無い。少しずつ確実に戦力は殺ぎ落とされていく。フェザーン停泊中の艦隊も第七、第八艦隊が撃破した。この宇宙から貴族連合軍の艦艇は跡形もなく消えるだろう。
地上部隊も必要な施設は全て占拠した。残っているのは高等弁務官府だけだ。門閥貴族の一部が逃げ込んだようだが陸戦隊の一部が封鎖している。後で引き渡しの交渉をしなければならん。面倒な話だがあの連中を放置するわけにはいかない。それにマリーンドルフ伯では連中を上手くさばけない可能性がある。
高等弁務官府に逃げ込めた奴は運が良かった。次に運が良かったのは陸戦隊に捕殺された奴だな。最悪はフェザーン市民に捕まり嬲り殺しにされた連中だろう。シェーンコップからは襤褸雑巾みたいな死体が幾つも有ると報告が上がっている。余程に恨みを買いまくっていたらしい。因果応報、自業自得だ。同情する気にはなれない。
艦橋は落ち着いている。先程まで有った喧騒は綺麗に消えていた。戦争の帰趨は見えている、軍人達が騒ぐのは戦局が流動的な時だけだ。今俺達に出来るのは黙って戦局を見詰める事だけでしかない。後は時折“気を抜くな”と各艦隊に命令すれば良い。政府との通信も包囲網が完成した後で終わらせた。
トリューニヒトはパジャマ姿でマスコミに大勝利を報告すると言っていたな。なかなか楽しい演出だ。支持率のアップに繋がれば良いが……。貴族連合軍に降伏する様子はない。面子があるのだろう、さっさと降伏すればいいんだが誰かが最初に降伏してくれないと恥ずかしくて降伏出来ないというわけだ。もしかすると一番運が悪いのはこいつらかもしれない、じりじりと近付く死をただ待っている。
ボルテックが死んだ。貴族達に殺されたようだ。もっともそう
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