戦う覚悟
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だ!このたわけ!!貴様からは、やる気が感じられん。勝つ気があるのか!!」
「お、俺は腑抜けてなんかな…………」
アーチャーの剣幕に押されて言葉の最後が尻込みしてまった。ピリピリとした威圧が伝わる程アーチャーの剣幕は凄みがある。
「貴様は、まだうじうじと考えているのか。わかるっているのだろ?私たちは、戦うしかない!」
アーチャーの言葉が朝、白野に言われたこととかぶった。今の俺たちは、戦うしかない。
(なんのために?)
生きるため?じゃあ、切嗣との約束は?あの約束も果たせずに死ぬか?それとも、約束を捨てて人を生きろと?なら、衛宮士郎は、ナニヲモクヒョウニ?もう限界だ………………。
「う……せ……」
「何?」
「うるせえ!俺だって……………俺だって、どうすればいいかわからないんだ!」
この数日、無意識のうちに溜まっていたものが爆発してしまった。今まで人々を生かす為に在り続けてきた。
その誓いを曲げ、人を殺し自分だけ生き残るなど……………。出来れば、誰も悲しまない方がいい。しかし、それはできないとわかっているからこそ、俺は葛藤してしまう。
「わからないだと………………?このたわけ!」
今まで聞いたことのないアーチャーの怒鳴り声が響く。
「戦わずして、死ぬつもりか?凛やセイバーのためにもここで死ぬことは、私が許さんぞ!」
「えっ?」
アーチャーの言葉に思わず間の抜けた声で驚いてしまった。アーチャーもしまったという顔になったが、何時もの表情になり、そっぽを向く。
「…………この戦いに参加してしまった以上、いきのこるためには対戦相手という犠牲が必要になる。それが善なのかそれとも悪なのかは、私にも分からない。しかし、一つだけ言えることがある」
アーチャーは再び俺のほうを見た。その目には硬い決意が宿っているのがわかる。
「これは忠告だ。おまえが今までの信念を守るのならそれでいい。だが、貴様がしんであの二人を泣かすことは私が絶対に許さん。お前は生きのびねばならんからな」
「アーチャー………」
アーチャーの言葉には、重みがあった。こいつは生前、恨まれ、憎まれただろう。今まで他人の命を、願いを、想いを踏みにじって生きてきただろう。それでも、理想を信じ、生きてきた。こいつにも好きな奴がいただろうな。
しかし、それすら理想のために切り捨てたんだろう。俺もそうなっていたかもしれないが、アインツベルンの城でのアーチャーの言葉。
『私とお前とは、もう違う存在なのだな―――』
俺とアーチャーは違う。
そう目指すのは違う理想。
目に入る全ての人間を救うという理想をあきらめた訳ではない。
心を鉄にするのでもない。
9を護るために1を切り捨てるのでもない。
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