第八話
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話しかけていた、リーダー格の剣士が話しかけて…いや、脅そうとしてくる。
「見ない顔だけど、抜け駆けは止めて欲しいな。俺たちは、ずっと前からシリカさんに声をかけていたんだ。」
「…ずっと前から断られてたのか。ご愁傷様。」
「違う!」
え?違うの?
…ちょっと面白そうだ。
「すいません!私の方から頼んだんです!」
俺の手をとり、その場から離れようとするが、力を込めて踏みとどまる。
「ちょっと…ショウキさん…?」
「そう、つまりは、シリカはお前たちより俺を選んだんだよ。自分の意志でな。」
ピクリと、リーダー格の剣士が反応する。
「今、シリカが言ったろ?『私の方から頼んだんです』、と。…つまり、そういうことだ。」
「ちょ、ちょっと…!」
いやあ、二人の反応が面白い。
血管に青筋をたてて唇を噛む剣士と、顔を赤くして手を引っ張るシリカ。
一粒で二度おいしい。
「シリカさん、本当に自分から頼んだの?」
「ええっと…はい。」
自分から頼んだのは事実だ。
「そんなわけだ。シリカのことは任せてくれ。さようなら!」
シリカの手を引き、走って主街区行きの転移門へ走る。
そして、ライトエフェクトと共に、俺とシリカは《迷いの森》から姿を消した。
第三十五層市街区は、白い壁に赤い屋根の建物が並ぶ牧歌的な農村だった。
それほど大きい街ではないが、今は中層プレイヤーたちの主戦場として賑わっていた。
「ほうほう。」
珍しくて色々な場所を眺めている俺の後ろには、すっかり疲れ果ててうなだれるシリカがいた。
「…私、ショウキさんのこと、最初は怖い人だと思ったんですけど…」
「あ〜。いきなり怒鳴りつけちゃったからね。」
「今は…楽しそうな人です。」
楽しそうな人。
「ありがとう。最高の褒め言葉だ。」
「ふふ…」
二人して笑いあう。
何だ、シリカも意外と楽しんでたんじゃないか。
「俺も、今日はここに泊まろうと思ってるんだ。シリカの宿屋どこ?」
「あ、そうなんですか?それならこっちです。《風見鶏亭》って言うんですよ。」
シリカに先導され、俺たちは宿屋《風見鶏亭》に歩きだした。
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