第百五十七話 延暦寺その十一
[8]前話 [2]次話
「狙いはするがな」
「左様ですか」
「うむ、ではじゃ」
「わしはこのままです」
「僧兵達を率いるか」
「そうします」
無明はそうするというのだ、彼は。
「ではその様に」
「うむ、ではな」
こう話してそしてだった、二人は。
僧兵達と共に攻めに加わった、その闇の僧兵達を見てだった。
織田の兵達を率いる柴田はいぶかしむ怪訝な顔になり傍らにいる佐久間盛政に対してこう言うのだった。
「あの僧兵達、どう思うか」
「権六殿と同じかと」
見れば盛政も同じ顔だ、その顔での返事だった。
「見たところ」
「延暦寺の兵ではありませぬな」
「はい、違います」
それは断じてだというのだ。
「延暦寺の僧兵達の衣は普通です」
「他の寺の僧兵達と同じじゃな」
「はい、しかしあの衣は」
「闇じゃ」
「本願寺にもいた」
「そうじゃな、どういうことじゃ」
いぶかしむ顔での言葉だった。
「これは」
「わからぬ、しかしじゃ」
「それでもですな」
「敵であることは事実じゃ」
このことは間違いないというのだ。
「本願寺と関わりがあるかどうかまではわからぬが」
「それでもですな」
「うむ、だからじゃ」
「今は戦いますか」
「来たところを攻めよ」
これが柴田の今の命だった。
「よいか、地の利は向こうにある」
「だからですな」
「迂闊に攻めてはやられるのはこちらじゃ」
こう考えてのことだった。
「だからここは鉄砲、そして弓矢で狙う」
「そして敵の数を減らし」
「そのうえで」
「敵の数が減ってからじゃ」
こちらが攻めるのはというのだ。
「そして出来るだけ火を使え」
「火攻めですか」
「それを主にしますか」
「その方がよい」
地の利は向こうにありしかも山には木々が多い、それならというのだ。
「木は火に弱いからのう」
「ですな、それでは」
「このまま」
足軽達も応える、そうしてだった。
柴田が率いる兵達は守りつつ敵の数を減らすことにした、その戦い方は上手くいき僧兵達は悪戯に数を減らしていく、しかし。
延暦寺からの反撃も来る、鉄砲がだ。
木陰等から撃って来る、それにより織田家の兵達も傷ついていく。信長はそれを見ていぶかしむ顔で周りに問う。
「鉄砲fがあるがな」
「はい、延暦寺に鉄砲ですか」
「しかも多いですが」
「これは、ですな」
「どうにも」
「うむ、延暦寺は鉄砲は然程持っていなかった筈じゃ」
信長もこのことを言うのだった。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ