第百五十七話 延暦寺その八
[8]前話 [2]次話
それでだ、僧兵のことも決めてだった。信長は僧侶達に対してあらためてこう告げたのだった。
「ではな」
「はい、杉谷と無明、そして寺の断に従わぬ者達は」
「右大臣殿が」
「あの者達が集まっている場所を攻める」
断固たる言葉だった。
「よいな、そのことは」
「はい、座主様もよしとされています」
「こちらとしましても」
「ではな」
延暦寺側に断ってからだった、信長は兵を動かすことにした。しかし僧侶達は織田家の十五万の大軍を見て言うのだった。
「織田家と戦になっては延暦寺は滅ぶ」
「我等では相手にならぬ」
「これまでの武家とは違う」
「右大臣殿は真の天下人よ」
「最早僧兵程度ではな」
「我等が武を用いる世ではなくなった」
「教に戻るべきじゃ」
こう言ってそうしてだった、彼等は座主にこのことも告げたのだった。延暦寺も滅びるよりはと信長に従う他なかった。
そして杉谷と無明達だった、彼等はというと。
延暦寺の一山に入ってだ、そしてだった。
寺の断に従わぬ僧侶や僧兵達を集めてだ、こう言ったのである。
「では宜しいですな」
「今より」
二人で言うならば不穏分子に話すのである、今彼等は彼等がいる山の境内に集まっている、そのうえでの言葉だ。
「織田家との戦です」
「何としても戦いましょうぞ」
「そのことですが」
僧兵の一人がここで二人に問うてきた。
「織田家の大軍の数は多いですが」
「だからですな」
「戦うにしても」
「はい、確かに我等は寺の断には従えませぬ」
僧兵もこのことを言う。
「死も恐れませぬ、ですが」
「ここに篭ってですか」
「満足に戦えるかと」
「左様です、数が違い過ぎます」
「ですな、しかしです」
「我等にも策があります」
そうだというのだ。
「ですから」
「戦うのですな」
「ここで」
「左様です、地の利はこちらにあります」
このこともあってなのだ。
「是非共です」
「最後の最後まで戦い」
「織田家に我等の意地を見せるのですね」
「そうです」
まさにその通りだというのだ。
「では宜しいですな」
「最後まで戦いましょう」
「わかりました」
こうしてだった、彼等は立てこもりその場で戦うことにした、信長の軍勢が囲みそのうえで降伏を促してもだった。
降りない、それどころかだ。
「あくまで戦うと言っています」
「最後の一人まで」
黒田と竹中が信長に述べる。
「女や稚児は逃げましたが」
「僧兵や僧侶達は」
「左様か、ではじゃ」
それではとだ、信長も言ってだった。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ