第三話 怪人と炎その十三
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「奈良県の先生は聞きしに勝さるね」
「先輩の予想以上ですか」
「酷過ぎるよ」
その域にまで至るというのだ。
「奈良県の腐敗は僕の想像以上だね」
「学校の先生のですね」
「暴力は不正だよ」
それに他ならない、もっと言えば悪である。
「それ他ならないよ」
「というか弱い相手を殴るとかな」
薊はその行為自体に醜悪なものを見て顔を顰めさせて言った。
「何なんだよって話だな」
「天枢さんはそういうことは嫌いだね」
「ああ、大嫌いだよ」
きっぱりと否定した薊だった、弱者への暴力については。
「あたしは試合とかは好きでもな」
「暴力は嫌いだね」
「そんなのしたことすらないよ」
自分より弱い相手に暴力を振るう、それは薊にとっては最も忌むべきものだ。彼女にとってそれは何かというと。
「それは一番弱い奴、駄目な奴のすることだろ」
「力のない相手に暴力を振るうことはだね」
「ああ、最低だろ」
こうも言うのだった。
「それこそな」
「いじめをしたことはないんだね」
「院長先生がそういうことは絶対に許さなかったんだよ」
ここでもこの人の名前が出る、それだけ薊に与えた影響が大きいということだ。
「何があってもな」
「しっかりした人だったんだね、院長先生は」
「凄くな。拳法の師匠だってさ」
いじめは決して許さなかったというのだ。
「だからあたしもさ」
「そういうことはだね」
「嫌いなんだよ」
それも大嫌いだというのだ。
「絶対にしないさ」
「じゃあ天枢さんの拳は強い相手と闘う為だね」
「やる気のない奴にも仕掛けたことはないさ」
こちらも一度も、というのだ。
「まあ怪人相手はな」
「その場合は仕方がないね」
「やるかやられるかだからな」
あの蟷螂人間との闘いを思い出しながらだった、薊は鋭い目になって智和と裕香に話した。それだけはというのだ。
「やるさ、次に出て来た時も」
「そうしてね」
「そうするさ、しかし奈良ってのは酷いんだな」
薊は今度は裕香に顔を向けて言った、その暴力教師がいる奈良県出身の裕香にだ。
「とんでもない奴が先公なんだな」
「流石に問題になってきたみたいだけれどね」
「ならない方がおかしいだろ」
「その先生長い間そうしてきたのよ」
「長い間かよ」
「何十年もね」
「普通そんな奴何十年もいられるかね」
このことを聞いてだ、薊はまた首を傾げさせた。
「おかしいだろ」
「おかしいけれどね、それでもね」
「長い間問題になってなかったんだな」
「学校の先生ってだけで尊敬されるじゃない」
つまり人格ではなくその職業を見ての判断だったのだ、これは世間ではよくあることだ。
「それでなの」
「問題にならなかったのかよ」
「それでずっと生徒
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