2ndA‘s編
第四話〜少年達の目的〜
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???
意識が浮上する感覚。
それを脳ではなく、体全体で感じていると錯覚する。瞳を開けるとそこは暗く、深く、広いどこか。足元は光っており、その光が青白いことからその空間は湖を連想させた。
「……」
どこか思考の一部が微睡んでいる。
そう感じていることから、ここが少なくとも現実世界ではないことを漠然と理解する。
それを理解してから彼は辺りを見回す。どこまでも続いていそうな広大な空間に見えるというのに、そこには何故か閉塞感を感じる何かがあった。その感じ方をする自分を疑問に感じながらも、何かがないかと目を凝らし続ける。
すると、その空間に佇む一人の女性の姿を彼は見つける。彼女は白銀の長髪を結い上げることもせず、一冊の本を片手に抱え神に祈るように、懺悔するように、願うようにその場に跪き、目を閉じている。
そのどこか神秘的な光景に見とれそうになる彼であったが、一先ず自分の存在を認識してもらう為に声をかけようと口を開こうとした。
「誰だ?」
口を開こうとしたその直前、彼女が彼に振り向き誰何の声があがる。その事に一瞬面食らうが、黙っているのは不自然と思い自分の名を口にした。
「えっと、ライと言います。そう言う貴女は?」
「名などない」
「「……」」
それで会話が止まってしまった。
この空間にライがいること自体がおかしいのか、彼女は警戒心もむき出しに彼を睨みつける。その一方的なにらみ合いは居心地が悪かった事と、この空間のことを知っていそうな彼女の信用を得るためにライは再度口を開いた。
「すいません、ここがどこなのか解らないのですが出る方法を知っていませんか?」
「?」
その質問が予想外であったのか、これまでの警戒心むき出しの表情とは打って変わってキョトンとした表情を彼女は浮かべる。
「どういうことだ?」
「いえ、それはこちらがしたい質問なんですけど……」
「「?」」
お互いに理解できない事が多いのか二人して首を傾げてしまう。とにかく、お互いの知っている事を伝えれば何かわかるかも知れないと考えたところで、ライは唐突にその声を思い出す。
『私はどうなってもいい。だから、優しきこの主を誰か救ってくれっ!』
あの時、Cの世界で聞こえた声と彼女の声は似ているのではないか?と。
「……どうした、急にこちらを凝視して?」
「あ、いえ、その……」
「お前はこの闇の書が目当ての魔導師ではないのか?」
そう言い、彼女は抱えていた本をライの方に向ける。その本には確かに見覚えがあったが、此処にいる目的ではない。寧ろ目的を持ってこの場にいるわけではないライにとっては疑問の種でしかない。
「いえ、そんな物に
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