来たる、カトレーンの女王様
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うと許せない。
「・・・全く・・・愚かとしか言いようがないわ」
その口調はティアにそっくりだ。
だが、根本的な所が全く違う。
ただ冷たいだけの祖母の口調と違い、ティアは冷たさの中に優しさを秘めている。
だから困っていれば知恵を貸し、不利な状況にあれば力を貸し、時に蹴りが飛んでくる事もあるが(特にナツに)、飴と鞭が平等に出来ているのだ。
「今連れて行くのはこの人たちに免じてナシにしてあげる。でも、明日使いを出します。解ってるわね?ティア」
「・・・はい」
明日使いを出すという事は、家に帰る日にちが1日延びただけという事。
逃げられないのは明白。
溢れ出そうな感情を慣れたように押し殺して、ティアは呟いた。
「それじゃあ皆さん、クロスをよろしくお願いします」
最後に祖母は作ったような笑みを浮かべて頭を下げ、ギルドを出て行った。
「同時展開は30本までか・・・先月より3本増えてたな。これで姉さんを守れる力がまた少しついたという事か」
握りしめた自分の右拳を嬉しそうに見つめ、クロスは上機嫌だった。
1か月に1回、東の森で剣の腕を磨いているクロスは、その左手に森で採ってきた綺麗な淡い水色の花を持ち、ギルドへ向かっている。
(この花、姉さんに似合うだろうか)
自分と同じ色の青い髪に淡い水色のこの花が添えられる光景を思い浮かべ、クロスは破顔する。
道行く人の中には『何だアイツ』という目でクロスを見る人もいるが、大半は『あー、またお姉ちゃんの事考えてる』と慣れたように見ていた。
マグノリアで嬉しそうな表情のクロスを見たら、9割の確率でティアが関わっている。そして、クロスが悲しそうな表情をしていたら、9割の確率でティアが関わっている。
「・・・ん?」
上機嫌、今にもスキップしそうなほどに上機嫌なオーラを纏って歩くクロスは、ふと足を止めた。
見覚えのある人を見かけたのだ。
自分と同じ色の髪と瞳の女性。
一瞬ティアかとも思ったが・・・すぐに気づいた。
(っお祖母様!?)
空気が冷めていく。
上機嫌だった表情から、感情が抜けていくのをクロスは感じた。
(どうしてここに――――――)
祖母は魔導四輪に乗り込み、魔導四輪が発車する。
視界から消えていく魔導四輪を見つめながら、クロスは呆然と立っていた。
すると、そんなクロスに声が掛かる。
「主!」
「ライアー」
後頭部辺りで1本に結えた長い黒髪を揺らして走ってくるライアーはクロスの前で足を止める。
肩で息をしているところを見ると、かなりの距離を走ってきたようだ。
なんとなく嫌な予感がする。
クロスはそう思いながら、ライアーに訊ねた。
「どうした?」
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