来たる、カトレーンの女王様
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にまで届いているわ。本当、恥ずかしいったらありゃしない。貴女の存在自体が一族の恥なのに、これ以上カトレーンの名に泥を塗らないで」
ブチッ、と。
ルーシィは何かが切れる音を聞いた。
自分の、ではない。
――――――その近くに立つ、ナツの、だ。
「オイ!黙って聞いてりゃ三流だの出来損ないだの・・・何様だテメェは!」
「黙りなさいバカナツ!」
「!」
表情に怒りを浮かべて怒鳴ったナツを止めたのは、ティアだった。
吐き出すように放たれた言葉にナツは声を止める。
「・・・申し訳ありません、お祖母様。全て私の責任です」
「ええそうね。貴女が生まれた事は貴女の両親が問題だけれど、そのほかは全て貴女の責任よ、ティア。ただでさえクロノヴァイスがいるのに・・・この代はどうなっているのかしら。こんな、何の才能もない出来損ないが2人もいるなんて。クロスが可哀想だわ」
ぎゅっとティアは唇を噛みしめた。
本来なら、ティアは苛立ちを全て解放しているだろう。
全くキレないティアに違和感を覚えながら、ルーとアルカは再度首を傾げた。
「でも、貴女は女に生まれてラッキーだったわね。一族の為にその力が使えるんだもの。それ以外には何の存在理由も価値もないけれど、“星竜の巫女”である事が唯一の救いじゃない」
「・・・はい」
「いい?本当なら2年前に全て終わるはずだったの。それがイオリとかいう女が死んだ事で2年延ばす事になったけど・・・もうこれ以上は延長不可能よ。解っているわね?」
「解って、ます・・・私のワガママで、2年延ばしてもらって・・・」
「そう。貴女の最初で最後のワガママよ。あんなイオリとかいう低俗の女が死んだだけで、まさか巫女の力が使えなくなるなんてね!本当に出来損ないだわ」
「―――――――っ!」
祖母の言葉に、ティアは顔を上げた。
その表情には怯えと恐怖もあるが、それより前に怒りが出ている。
自分が出来損ないと言われ続けた事に対しての怒りじゃない。
師匠であるイオリを“低俗”と言われた事に対して怒りを露わにしているのだ。
「イオリさんは・・・っ!」
反論しようとティアが口を開く。
が・・・一瞬にして、空気が凍った。
「イオリさんは・・・何?」
祖母の一言。
冷たい視線に氷のような瞳、有無を言わさぬ静かな迫力。
その声と視線に、ティアはぞくっと震えた。
「でも良かったじゃない。1人でも貴女の存在を許してくれる人間がいて。こんな出来損ないの存在を許すなんて、貴女の師匠は飛んだ甘ったれね」
そう言って、祖母は続けた。
ギルド全体に衝撃を走らせる、一言を。
「人間のフリをした貴
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