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もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?
短編外伝乱離骨灰
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?人の魂を人外の肉体に入れるなんて危なすぎてしちゃいけないんだよね。精神とのバランスが取れなくて崩壊するのが殆ど。彼女は高度な知的生命体だったから理性を保ってたみたいだけど・・・」
「例えばサルの中に人間の魂を入れても、人間と同程度の知能にはならないって所か?」
「乱暴な例えだけど大体はそゆコト。魂の情報と不一致がありすぎると調合性が取れないのよ。まったく・・・あのクソ女め、書類くらい残しておけよ」

目頭を押さえて心底忌々しそうにぼやく司書。此処まで感情的になっているのを見るのも初めてだ。司書の書類を盗み見てみると、前任者の名前はEASY(イーズィー)という女だったらしい。正直、いい感情は持ち合わせない。何かしら不祥事を起こして余所に飛ばされたようだが、用語が多すぎて今一解らなかった。ともかくその女の所為でアヤノは随分苦しんだらしいことは分かった。
しかしクソ女と来たか。余程司書は前任者が嫌いなようだ。まぁ不祥事を起こして飛ばされたというくらいだから碌でもないのには違いないだろう。司書の不祥事なぞ想像もつかないし誰が飛ばしたのかも知らんが。

「・・・・・・まぁそういう事だよ。むしろ彼女がいたってことは僕の把握してない転生者がまだいるって事だろう。色々調べなくちゃならんから今日は御引き取り願えるかな?」
「ン・・・分かった。忙しい所悪いな」
「それと」

何だ?と思って後ろを振り向くと、真剣な司書の顔があった。

「僕は基本的にフラスコ内に干渉できないから無責任な言い方になるけど・・・アヤノちゃんのことは君に頼むよ」


頼みに、シャインはひらひらと手だけを振ってフラスコの中に戻っていった。態々いうまでも無かったか、と笑みがこみ上げる。

シャインは自分の受け持った劇物の中でも最も強固な精神を持っている。それは自分という存在を割り切っているということだ。彼は目の前で困っている人は助けるが、紛争地帯で苦しんでいる人たちは接点でもない限り決して助けない。自分なら助けられると分かっていても何もしないという選択ができる、ある種で人間的じゃない精神力を持っているのだ。

故に手の届かない場所にいる人間にはどこまでも非情で無関心。でも―――関わってしまえば見て見ぬふりはしない。そういう意味では彼はフラスコ内に干渉する者としては最適と言える。欲が無く、程よいドライな感受性を持ち、しかし人であることを捨てはしない。何より彼は無限力のためか「あるべき世界」をよく理解している。

英雄(ヒーロー)では駄目だ。
悪役(ヒール)でもいけない。
凡役(モブ)にはなりきれない。
囚われのヒロインになるほど弱くはなく、正義と欲望をはき違える狂人でもない。いわばそう、物語の調合性を保つお助けキャラ。それがシャイン・テスタロッサだ。


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