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もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?
短編外伝乱離骨灰
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い偶然だな、それ」
真っ黒な服が好きで、艶のある綺麗な黒髪が印象的な男の子だった。今も時々連絡を取り合っている程度には仲がいい、和人より一回り小さい子だった。しかも、似ていたのはそれだけではない。和人の家は剣道をやっていたのだが、彼も剣道をやっていたのだ。そして好きな色が黒というのも共通。流石に、少しばかり運命的なものを感じた。キリトは勇気を振り絞って彼に声をかけた。彼はかなりマイペースな性格だったため話がかみ合わない事もあったが、概ね友達と呼べる関係になることが出来た。
最も剣道の腕前は軽く人間の域を超えており、当時和人の通っていた道場で最強だったシグナムさんという先輩をもってして「勝てないかもしれない」と言わしめるほどだった。そこで思い出したのだが、1年前にシグナムさんと試合をして竹刀をへし折ってしまった少年の名前がその彼だった事に気付いた。あの日偶然道場に遅刻して、折れた日本の竹刀を見ながら静かに涙を流す父の背中を見た覚えがあった。
「竹刀って、折れるものなのか?」
「ぶっちゃけ折る方が難しいと思う。どんな試合だったのやら・・・」
「ところでシグナムさんって何人だよ?」
「いや、知らん。ただすげぇ美人ではあった」
「・・・女の人かよ!キリト、紹介しろぉ!!」
「落ち着けバカ!」
2学年ほど下でも違和感がないほど小さな彼はしかし、自分の境遇に不満や違和感は抱いていないようだった。自分は真実を知ったことでこんなにも揺らいでいるのに、何でこの小さな同級生は毎日平気そうな顔で家族と接していられるのだろう?
「何で平気なのか、聞いたよ。なんて言ったと思う?」
「想像もつかねぇな・・・何でだって?」
「”拾われる前の事は何も覚えてないから、本物の親と違いが分からない”ってよ」
「おいおい・・・まぁ心理ではあるな。知らないんじゃ戸惑い様もないってことか」
「うん。俺とちょっと事情は違ったけど、後頭部にガツンと鉄槌ぶつけられた気分だった」
目が覚めた気分だった。自分は果たして何を気にしていたのだ、と天啓を受けた気さえした。そうだ、本当の両親さえ知らないのに自分は何を気にしているんだ。ずっと自分を家族として育ててきたのは他ならない”今の両親”だろう。溝は出来たんじゃない、真実を知った時に自分で作ってしまっていたんだ。
そのことに気付いた和人は、自分が家族にとてもひどい事をした気がして家へ走った。一刻も早く、今更そんなことを考えてしまったことを謝りたかった。そして―――幼かった少年は、信号無視のトラックが自分に突っ込んできている事に気付かなかった。
気付いた時にはトラックは目の前で、これは死ぬなと悟った。
「でも死ななかった。怪我一つしなかったよ」
「誰かが助けてくれたのか?」
「うん。その頃、町で都
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